表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
296/589

外伝1「さすらいの勇者1ー31」

 それから無茶士は、ギリとキマシのお供で魔法部隊の宿舎を目指していた。

「ねぇ、無茶士。さっきのケットシーの女性とはどんな関係なの?」

 キマシが興味津々に聞いてきた。

「さっきの?タマーリンの事ですか?」

「違う!後から来た方だよ!本当に空気読めないんだから!」

 怒るキマシ。

「理不尽だ」

 と思いつつ、

「サビエラですか?とてもよくして貰ってます」

「どんな風に?どんな風に?」

 目をキラキラさせるキマシ。

「たまに家に来て一緒に飯食ったり・・・マオの服を買って貰ったり」

「マオって誰よ」

「八歳の子供ですよ、一緒に暮らしてます」

「あんたの子供?」

 ギリとキマシが獣を見るような目で見てくる。

「違いますよ、俺、この世界に来たばかりですよ、子供なんて作る暇有るわけ無いじゃないですか」

「あっ、そうか」

 納得してくれたようで少しだけ、視線からトゲが取れた。

「行きがかりで俺が引き取る事になった、ただそれだけです」

「なんだつまんない、もっと面白い話が聞けるかと思ったのに」

 一瞬で興味を失いギリとキマシは先に歩き出す。

 ほっとする無茶士。

「マオの正体が魔王で、背中から翼を出して空を飛ぶなんて話をしたら、もっと面倒な事になりそうだな」

 マオの話は出来る限りあの二人にはしない方が良いなと無茶士は決意をした。



 ギリとキマシと共に魔法部隊を目指して歩いていた無茶士は、広場に出た。

 その広場では見覚えのある装置をケットシー達が設置していたのだ。

「何、何、あの板みたいな奴は?」

 キマシが興味津々で見つめる。

「あれは魔法投影機です、あの板の表面に動画・・・動く絵が出るんですよ」

 無茶士はギリやキマシに判るように説明した。

「動く絵?・・・が出る魔法道具?」

「そんなのを何故、砦の中央広場にわざわざ設置してるんだろね?」

 キマシとギリが首を捻る。

 説明が簡単すぎて伝わっていなかった。

「済みません、説明が悪かったですね・・・えっとお」

 無茶士は空飛ぶカメラである一つ目ちゃんを探す。

 魔法道具研究所の作業服を着たケットシーやドワーフ達が忙しく作業しているのを見ながら、一つ目ちゃんを探していて作業している端の方で打ち合わせをしているサビエラの姿を見つけた。

 無茶士は作業の間を縫ってサビエラの方に向かう。

「サビエラさん」

 声をかけられサビエラが顔を上げると目の前に無茶士が立っていて驚く。

「サビエラさんがこんな所に来ていて変だなと思ったら、これの設置に来ていたんですね」

「はい、モモエル様は忙しくてここまで来る事が出来ませんし、今、大物の最終調整の真っ最中なので手空てすきの技術者も少なく、わたしが責任者としてくる事になったんです」

 そこで一旦間を置いてから、

「でも、わたしは魔法具の事はよく判らないので皆さんに任せっぱなしなんですけどね」

 サビエラ自嘲的に笑う。


                       (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ