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外伝1「さすらいの勇者1ー21」

「そうですわ、婆やが

 「男を捕まえたければ胃袋を掴むのが一番ですよ」

と言っていましたわ」

 婆やとは、タマーリンの身の回りの世話をしている使用人の事だ。

 タマーリンが屋敷を出る時に、孫娘と一緒に無理強引にタマーリンに付いて来て、今の家に居着いてしまったのだった。

「胃袋?掴む?」

 サビエラは意味が判らず、頭の上に?マークが飛び回っている。

「お料理の事ですわ、美味しいお料理を食べさせて、好きな男を餌付けしてしまえという事ですわね」

「餌付けですか・・・」

 餌付けという言葉にサビエラはいまいちピンとこなかった。

 それより大きい問題があったからだ。

「わたし、料理はあまり得意ではないです」

 王都では朝早くから働く者もいるので、それに合わせて食べ物屋も朝早くから開いているし、夜もそこそこ遅くまで開いており、料金もそれほど高くない。

 サビエラは年齢の割には給料を貰っている上に忙しくて使う暇もないので、食事はほぼ外食で済ませていた。

 一人暮らしだが、家で料理する必要も時間も無かったから、使わない能力は衰退していくのは仕方なしなのだ。

「わたくしもお料理は作りませんから、誰か他の方に教わるしか・・・あっ、一人居ましたわ、お料理の得意な方が。今度お会いしたら頼んでみますわね」

「本当ですか?」

 サビエラの顔が明るくなった。

「でも、怖い方だったらちょっと・・・」

「うふふふ、大丈夫ですよ。とても明るいし、年齢もサビエラとさほど変わりませんから。それに、あなたも何度か会った事があるかも」

「わたしがですか?」

 サビエラは自分と年齢が近く料理上手な知り合いを思い出そうとしたが、

「だめ、全然思いつきません」

 早々にギブアップした。

「ロレッタの事よ」

「ロレッタというとミケラ様の・・・」

「そう、ミケラ様の義理のお姉さんのロレッタ。昨日、お呼ばれしてきたんですけど、お料理がどれも美味しかったですわ」

 タマーリンが嬉しそうに微笑む。

「そうかロレッタって、料理が上手だったんだ」

 ロレッタにはモモエルのお供をした時に何度か会った事がある。

「でも、今はミケラ様の為にお城勤めしていると聞きます、それにタマンサさんの具合もまだ良くないようだし。料理を教えて貰うとか大丈夫でしょうか?」

 気が引ける気がした。

「あら、それなら大丈夫ですわ。夕べ、マオがタマンサの病気の原因を吸い取りましたから。顔色もかなり良くなりましたのよ」

「それ本当ですか?」

「ええ、本当ですよ。モモエルと一緒に見ていましたから」

「良かった」

 タマンサが急に体調を崩し、どんな治療も受け付けないのでモモエルがかなり心配していたのだ。

 そのタマンサの容態が良くなったのなら、モモエルの心配がひとつ減る。

 それとは別に、ある事に気がつく。

「マオって、そんな事も出来るんですか。背中から羽が生えて空を飛ぶだけでも驚きなのに」

 マオには無茶士の家で何度もあった事があるし、食事も一緒に食べた事もある。

 話し方が少し変だけれど、明るくて元気のよく、サビエラはマオの事が気に入っていた。

「自称魔王と言うのがちょっとね、だけど」

 背中から黒い翼を生やして空を飛ぶ以外は普通の女の子と大して変わらないし、ケットシーだってタレントでいろいろな力を見せるのでタレントの一種と思えば問題は無い。

「タマンサの病気が良くなったのですから、もう大手を振ってロレッタに料理を習いに行けますわよ」

「そ、そうですね」

 サビエラがロレッタに料理を習いに行くのは、これで確定事項となったのであった。


後書きです


連絡事項:「雪ちゃんの大冒険」という童話を投稿したので、良かったら読んでください。

       https://ncode.syosetu.com/n3547im/


今回はサビエラの恋バナで終ってしましたが、如何だったでしょうか?

私も武茶士同様唐変木、朴念仁と呼ばれる側なんで書いていて心が痛かったです。

本編だとこの手の話はなかなか書くチャンスがないので、外伝ではと言うことで。


ではまた来週(@^^)/~~~


                    (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))


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