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外伝1「さすらいの勇者1ー16」

「さてと、休憩にするか」

 チェンの合図で、各々休憩に入る。

「キマシ、いい感じになってきたと思うよ」

「そうかな・・・ギリのお陰だよ。ギリ先生、厳しいから」

「厳しくしないと、キマシ、直ぐさぼんじゃん」

「サボりじゃ無いよ、休憩、休憩だから」

「休憩、多過ぎんの」

「テヘ」

 キマシは軽く舌を出す。

「もうしょうがないな」

 ギリとキマシが明るく笑う、そして休憩していた他のメンバーも一緒に笑う。

 この二人が隊の癒やしになっているのだった。




「ヒット凄いな、あんなに身体が動くとは思わなかった」

 武茶士はモリノクとの練習で軽々と動き回ったヒットに心の底から驚いていた。

 背は武茶士より頭二つくらい高く、肩幅もかなりあり、服の間から見える筋肉はかなり鍛えられているのが判る。

 それで力任せのパワーファイターだと勝手に思っていたのだ。

「ありがとうございます、魔獣相手だと力だけでは勝てないですから。死にたくないから身につけた技です」

 はにかむように笑うヒット。

 ここは最前線であり、魔獣に負けるは即、死を意味するのだ。

 死にたくなければ自分の技を磨くしかない。




「モリノク、今度は魔法見てよ」

 キマシがギリの手を引っ張ってやって来た。

「い、いいですよ」

「わぁ~やった!」

 無邪気に喜ぶキマシ。

「さっきの二つに分かれる奴、驚いたよ」

 ギリが大げさな表情で誉める。

「ふふ~~ん、と言いたい所だけど、わたし、攻撃魔法得意じゃ無いからあれは当たっても少し火傷するだけなんだよね」

 残念そうに俯くキマシを、

「でもさ、目に当たれば充分相手の動き止められるし。いきなり二つに割れたら、魔獣じゃ避けられないって」

「そ、そうかな・・・ギリが言うならそうだね」

 へこんでいたキマシの表情が明るくなる。

「じゃあ、魔法使うから見ていてね」

 キマシは少し離れると、

「我がマナを糧とし、我が指し示し地、その地を踏みし者の足枷とならん」

 見事な高速詠唱で一気に詠唱を終えると、キマシは手にした杖で離れた地面を指した。

 杖で指された地面は一見なんの変化もないように見える。

「ギリ、ちょっと見てよ」

「あいよ」

 ギリは慎重に近寄る。

「おっと」

 唐突に後ろに飛び退くと、石を拾って投げる。

 投げられた石は地面を少し転がった後、地面に飲み込まれた消えた。

「バッチリだよ」

 ギリが問題なしの合図を送って寄越す。

「えへへへへへ」

 満面の笑顔で喜ぶキマシ。

「なんですかあれは?」

 武茶士が驚きの声を上げた。

「あれは地面乳化の魔法ですわ、一般には沼魔法と言われていますのよ」

 説明の声が後ろから聞こえてきた。

 その声を聞いた瞬間、武茶士とサンチョの顔が凍り付く。


                      (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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