表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
272/595

外伝1「さすらいの勇者1ー7」

「わはははは、冗談だよ冗談」

 チェンは豪快に笑って冗談と言ったが、女性二人からの視線がまだ冷たい。

「本当に冗談だから、俺とドンが昔同じ班になってだな・・・ある日出撃した時に、ドンと俺だけになっちまって、お互いにかばい合いながらなんとか生き延びた事があったんだよ。それだけだ、それだけの話なんだよ」

 必死に説明したチェンだったが、

「お互いにかばい合ってだって・・・」

「吊り橋効果って奴じゃない」

 一瞬見つめ合って、

「きゃ~~~」

 黄色い悲鳴を上げる二人。

「お、お前らな、いい加減にしねえと怒るぞ」

 本気でチェンが怒り始めたので、

「ごめん、ごめん。冗談よ」

「えへ」

 舌を出す二人。

「チェンさん、お久しぶりです。宜しかったら皆さんをご紹介して頂けないですか?」

「おう、サンチョか。久しぶりだな、紹介か・・・こっちの背の低い方がキマシだ。後方支援専門の魔法使いだ。ほら立って挨拶しろや」

 キマシと呼ばれた女性は席から立ち上がり、

「キマシ・タワーって言います。強化魔法や足止めの魔法が得意です」

 ペコッと頭を下げる。

「来ましたわ~って、おいおい」

 名前を聞いて、武茶士は歌いながら戦う少女アニメを思い出していた。

「あたしはギリ・・・ギリ・ギリヤ。ナイフ使いだ。あたしやキマシに変な真似したら、このナイフで切り刻むからな」

 呼ばれる前に赤毛で細身の女性が立ち上がり、腰から素早くナイフを抜く。

「ぎりぎりやって、関西の方でっか」

 心の中ですかさずツッコミを入れる武茶士。

「あっ、お・・・拙僧はモリノク・マサンと言う・・・ます・・・あっ、僧侶です、回復します」

 法衣を来た背の高い男が立ち上がった。

 僧侶と言いながら法衣から覗く体付きはかなり良い。

「確かに森の熊さんという体格だよな」

 モリノクの体格を見ながら納得する武茶士であった。

「そして俺様はチェン・ソーマだ、この隊の隊長をやっている」

 そして虎次郎も立ち上がり、

「俺は・・・」

「知っているからいいです」

 三人口を揃えて拒否る。

「ガ~~ン」

 と落ち込む虎次郎。

「ちょっとちょっと、虎次郎さんて案外繊細な所があるからさ。話聞いて上げなよ」

 ギリが三人に耳打ちする。

「た、確かに」

 草原で出くわした時に、タマーリンにからかわれて落ち込む虎次郎の事を思い出す。

「ここは聞いた方が良いかも」

「そうですね、機嫌を損ねるのも得策では無いですから」

「手の掛かる奴じゃのう」

 三人はひそひそと話し合ってから、

「あ~俺、虎次郎の紹介聞きたいな」

「わしも聞きたいのじゃ」

「ぼ、ボクも是非聞きたいなぁ」

 白々しい声で虎次郎に自己紹介を求める三人。

 虎次郎はピクッと耳を動かし、そんなに言うなら仕方ないなとばかりに、

「俺は佐々木虎次郎だ!」

 どうだと言わんばかりのどや顔で名乗りを上げる。

「それだけ?」

「名前は知っているから他の事をいわんか!」

「そうですよ、せめて武器は何を使うとかは言わないとダメでしょ」

 ぼろくそだった。

「うぅぅ・・・」

 しばし唸った後、両手を振り回して虎次郎はぽかぽかと武茶士を殴る。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ