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6話「お妃様の陰謀 115」

「悪いわねロレッタ、モモエル達を呼んできてくれないかい」

「はい、お妃様」

 ロレッタが呼びに行く。

「ただいま~~~っ」

「ただいま~~~っ」

 直ぐにサクラーノとミケラが飛び込んできた。

「やった、わたしの勝ち~~~~!」

 サクラーノがそのままタマンサに飛びつく。

「サクラーノずる~~い」

 ミケラもサクラーノに続いてタマンサに飛びついた。

「二人とも走って来たの?」

「うん」

「お母さんに早く会いたかったんだもん」

「ね~~っ」

 ミケラとサクラーノはタマンサにしがみついて嬉しそうに笑う。

「うふふふ、お母さんモテモテね」

 タマンサも笑うと二人の頭を優しく撫でた。

 二人とも裸足で走ってきたみたいで足が土で真っ黒なのに気がつく。

「もう二人とも足が真っ黒じゃないの」

「えへへへへ」

「もう仕方ないわね」

 タマンサはハンカチを出す。

「二人ともそこに座って足を出しなさい」

 二人を座らせると、ハンカチで足を拭き始める。

「タマンサ、ハンカチだけじゃ無理だよ。水と拭くモノが必要だね」

 タマコが楽屋を出ようとするのを、

「お待ち、あんたじゃ此所は不案内だろ。わたしが行ってくるよ」

 お妃様がタマコを呼び止め、変わって自分が水と布を探しに出る。

「あったよ、これでいいかい?」

 水の入った桶と手ぬぐいを持って直ぐに戻ってきた。

「ありがとう」

 それを受け取り、タマンサはミケラとサクラーノの足を水で濡らした手ぬぐいで再び拭き始めた。




「ミケラ様、サクラーノ。待ってくださ~~い」

 ミケラ達が脱いでいったサンダルを抱えてモモエルがヒーヒー言いながら入ってくる。

「モモエル様、無茶しないで下さい。走るのは苦手なんですから」

 その後から、モモエル以上に運動が苦手なキティーが汗だくで入ってくる。

「二人ともだらしねえな、ちょっと走ったくらいで汗だくとはよ」

「だね、兄ちゃん」

 チャトーラとチャトーミは涼しい顔で入って来た。

「そ、そん、こと、ゲホゲホ」

 キティーが言い返そうとしてむせる。

「息が苦しい時に、無理に話そうとしちゃダメだよ」

 チャトーミが駆け寄ってキティーの背中をさすった。

「ありがとうございます」

 むせないように小さな声でお礼を言う。

「それで、お話の方はどうなりました?」

 モモエルが聞くと、

「ちょっと、ちょっと、それより先にあたし達の紹介をしておくれじゃないかい」

 タマコの言葉に、

「そうだ、ちゃんと紹介してなかったわ。こっちが私のお母ちゃんで、向こうにいるのが私のお父ちゃん」

 タマンサはそれで紹介を終わる。

「本当にあんたって子は、もう少し紹介の仕方ってモノがあるでしょ。本当にしょうがない子だね」

「えへへへ」

 タマコに怒られて笑って誤魔化すタマンサ。

 結局、タマコが自分で紹介して回る羽目になった。

「お母さんのお母さん?」

「お母さんのお父さん?」

 ミケラとサクラーノがよく判らないという顔でタマンサの顔を見上げる。

「それはね二人のお婆ちゃんとお爺ちゃんて言う事」

「お婆ちゃんだ!」

「お爺ちゃんだ!」

 二人は歓声を上げる。

「それで、あの人もミケラのお婆ちゃんだよ」

 タマンサはお妃様を指さした。

「えっ、わたしかい?」

                   (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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