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6話「お妃様の陰謀 106」

 ミケラが宿泊客から賞賛を受けている後ろで、

「やっと終わったのじゃ」

 マオがほっと息をつき、飛ばしておいた円盤を回収して翼を元に戻す。

 ふと視線を感じて後ろを振り向くと、キティーが幕の下から顔を覗かせていた。

「何を・・・」

 と言いかけた所で、さっき疲労が何回か回復したのを思い出す。

「お主が回復してくれたのか、助かったのじゃ」

「マオもお疲れ様。ミケラ様になにも無くて良かった」

 ニコッと笑うとキティーは顔を引っ込める。

 それとほぼ同時にタマンサが振り向き、

「マオもこっちへ来て」

 マオを呼ぶ。

 呼ばれてタマンサの隣に立つと、

「円盤を飛ばしてくれていたマオ嬢にも温かい拍手をお願いします」

 マオの手を上げる。

「お嬢ちゃんも頑張ったな」

「お疲れ様」

「よく見れば可愛いわ」

 と宿泊客達がねぎらいの言葉と拍手をくれた。

「なんかこそばゆいのじゃ」

 と言いながらにかっと笑うマオであった。



「お疲れ様キティー」

 モモエルがねぎらいの言葉を掛ける。

「ありがとうございます」

「これからも頼りにしているわ」

 モモエルにと頼られるのは嬉しいが、頼りにしているのが疲労回復魔法なのは判っているのでなんか複雑である。

 キティーの反応がいまいちなのが気になったのか、

「研究所のみんな本当にキティーには感謝しているのよ、キティーが親身になって健康のアドバイスをしてくれるからみんな少しずつだけど健康に気を遣うようになったし・・・研究バカだからつい自分の健康より研究の方を優先しちゃうけど」

 研究バカにモモエル自体も含まれるのだが。

「モモエル様も、もっと自分の身体をいたわって下さいね」

 モモエルに誉められてニコニコ笑いながらキティーは、奥の方でへたばっているクッロウエルの様子を見に行く。



 幕が上げられ最初の紙風船で作った星空へと背景が変わる。

 タマンサが袖に向けて手を伸ばすと、トランスロットが駆け寄り白い布を手渡す。

 その布を片手で振って、フワッと広げると見事な手さばきで身体に巻き付けた。

 真っ赤なミニスカート姿から一転して純白のドレスまとう淑女に変わったのだ。

「おおっ」

 早着替えに驚く宿泊客達。

 タマンサがステージの前の方へ出て両手を広げる。

 ミケラが進み出てその後をサクラーノが付いて行く。

「えっ、サクラーノ」

 タマンサはサクラーノに驚くが表情には出さないで、何事もなかったようにミケラとサクラーノを両側に立たせた。

「サクラーノはまだ動けないはずじゃ・・・まっいいか、多分ミケラの力ね」

 ミケラには不思議な力があるのには気がついていた。

 その力によって病に倒れている間、ずいぶん助けられたモノだ。

 気を取り直すとタマンサは上を向き大きく深呼吸をする。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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