6話「お妃様の陰謀 91」
翌朝。
タマンサとロレッタのご機嫌が何故か良かった。
「おはようございます」
朝食の為、広間に向かう途中でモモエルが後ろから声を掛ける。
「おはようモモエル、今日も頑張ろう」
「モモエル様、おはようございます。今日も一日宜しくお願いしますね」
やたらテンションが高い二人に、モモエルがちょっと引く。
「モモエル、おはようなのじゃ」
そこへマオがやって来た。
「マオ、おはようございます」
そこでマオはタマンサとロレッタがいるのに気がつき、
「よ、予は急用が出来たのじゃ、さらばじゃ」
そそくさとタマンサ達を追い越して広間の方へと姿を消した。
「ちょっと待って下さいマオ」
モモエルも慌ててマオの後を追う。
「うふふふふ」
その二人の後ろ姿を嬉しそうに見送るタマンサとロレッタ。
「それじゃあいただきます」
いただきますのの声の後に朝食が始まったた
朝食の間もタマンサとロレッタの二人はニコニコしていて、少し不気味だ。
マオはマオで、いつもはミケラの近くに座るのに、今朝は離れた場所に座っている。
お陰でモモエルもミケラから遠くの場所に座る事になり、恨めしそうにマオを見たが、
「ここでマオを見捨てるわけにもいかないし」
と諦めたように溜め息をつく。
「おいおい、夕べ、何かあったのか?」
タマンサとロレッタがやたらニコニコしているので、変だと思いチャトーラがトランスロットにこっそり聞くが、
「ボク、判らないです」
トランスロットはチャトーラと同じ部屋で寝ているので、夕べ、何かあっても知りようがない。
「なあなあ、おばさん達何かあったのか?」
今度は白妙達に聞く。
「わたし達も部屋が違うので判りません」
「交代で部屋の見張りはしていたけど、部屋の中までは判んないよ」
白妙と黒妙はミケラ護衛の為に交代で部屋の見張りをしていた。
だが部屋の窓の外側で見張っていたので、廊下側にいたマオとモモエルの話は聞いていなかったのだ。
「お前らも大変だな」
「仕事ですから」
と言いつつ、白妙は欠伸を噛み殺す。
そんな話をしているうちに、朝食は終わる。
朝食が終わった後も、タマンサとロレッタはニコニコ笑いながらマオの方を見ていた。
それが逆にマオを萎縮させてしまう。
「どうしたんですかマオ?自分で言いに行くんじゃなかったんですか?」
隣でモモエルが囁くが、
「あ、明日じゃダメじゃろうか?明日なら絶対に言える気がするのじゃ」
典型的なダメ人間の言い分けを言い始める始末である。
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