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6話「お妃様の陰謀 84」

「お母さん大丈夫?」

「痛くない?」

 心配そうにタマンサを見上げるミケラとサクラーノ。

「大丈夫よ、ちょっとお姉ちゃんに怒られちゃっただけだから」

 安心させるようにニコッと笑いかけるタマンサ。

「タマンサさん」

 ロレッタとのやりとりを黙って見ていたモモエルが声をかける。

「なに、モモエル?」

「これを差し上げる事は出来ませんが、代わりのモノを後で作って差し上げる事は出来ます。それで良ければ」

 それを聞いた途端にタマンサの目が光る。

「ホント?ホントに作ってくれるのね?」

「はい、余った材料や失敗した材料なら自由に使えるので」

 少し間をおいて、

「それにこれは急作りなので魔法力を食うんですよね」

「食うってどれくらい?」

「そうですね、一般の家庭の二ヶ月分を一時間で消費します」

「そ、そんなに」

 経済観念の破綻しているタマンサですらそれはダメな奴だと判った。

「はい、お妃様が魔法投影機を見てその映像を残せないのとゴネタので急遽造ったモノなので」

 タマンサは納得した、子を持つ親なら自分の子供の可愛い姿を残しておきたいと思うのは当然の反応だ。

 それが目の前にあるなら尚更。

「それであなた、あんなにヘロヘロだったのね」

 ここへ来る馬車の中でモモエルはほとんど起きられない状態だったのだ。

「一つ目ちゃんの改造や、三目ちゃんの製造・・・それにこれが加わったモノですから」

 実際は武茶士に元の世界では映像を残しているという話を聞いていていつか自分もと思っていた所に、お妃様の話が飛び込んできたのでチャンスとばかりに飛びついたのだが。

「それにこれで記録した映像も、移してお渡し出来ると思います」

「そこまでして貰って悪いわね」

 ヘロヘロになったモモエルを見ているので、あまり無理難題を言ってまたヘロヘロになられるのも心苦しい。

「いえいえ、それにお渡しした機械への魔力の補充もわたしとタマーリンがしっかりと面倒見ます」

 タマーリンの名前が出てきて、タマンサはモモエルが何を求めているかピンときた。

「判った、うちに来た時に撮ったミケラの映像を見たいのね」

 言われてモモエルの顔がニヘラと笑う。

「本当にあなたとタマーリンはミケラが好きね」

「はい、わたしもタマーリンもミケラ様が心の支えですから」

 モモエルの仕事は激務だった、いくら物作りが好きだとはいえ時には心が折れそうになることもある。

 そんな時にミケラの姿を思い浮かべればなんとか耐えられる、残業で疲れたお父さんが娘の写真を見て踏ん張る、そんな心境に近かったのだ。

 それはタマーリンにも言えた。

 王宮を離れ、一人で好き勝手をやっているようで裏でかなり暗躍しているという話をモモエルは聞いていた。

 仕事柄、忍びの里の者との接触も多いので、嫌でも裏事情の話が耳に入ってきてしまうのだ。

 タマーリンも自分と近い感覚でミケラと接しているんだろうなと、モモエルは勝手に思っていたのだった。


後書きです


今日は暑いですね、クーラーかけているのに室温が34度行きました。

クーラーの前から動けなくなりました(笑)


インディー・ジョーンズの新作を見てきました。

面白かった、劇場で見て正解でしたよ。

パンフも買ったんですが、過去作もパンフも買えますよと言われてびっくり。

そこまで人気があるんですね。


また来週(^_^)/~


                   (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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