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6話「お妃様の陰謀 83」

「だからそれ頂戴」

「だ、だめです・・・・・・」

 ギリギリのところでモモエルは踏み止まった。

「なんでよ、あなただってミケラの可愛い姿を残したいでしょ?側に置いてでたいでしょ?」

 その言葉にモモエルは心が更にぐらっと動いたが、なんとか踏ん張り、

「だ、ダメなモノは・・・だ、ダメなんです」

 しかし、モモエルの言葉に先ほどの勢いのなくなったのを感じ取ったタマンサはトドメの一撃を放つことにした。

「これだけはやりたくなかったけど、強情なあなたが悪いのよ」

 タマンサはミケラの方を向くと、

「ミケラ」

 猫なで声でミケラに声をかけると、

「モモエルにその箱頂戴って・・・」

 ステージからモウレツな勢いで走ってきたロレッタが、手にしたハリセンでタマンサの頭を思い切り張り倒す。


 パ~~~~ン


 ハリセンのいい音が大広間に響き渡った。

「いった~~~い。ロレッタ、お母さんに何するのよ」

「それはこっちの台詞よ、ミケラに何させようとしたのよ!」

「あう・・・・・・だって、だって、あれ欲しかったんだもん」

 上目遣いにタマンサはロレッタを見る。

「わたしに媚び売っても無駄だから、もういい歳なんだからそういうの止めてよ、こっちが恥ずかしいから」

 ビシッとハリセンを突きつける。

「それにミケラにバカな事させない!お母さんなんでしょ、しっかりしてよ」

 流石にそれにはタマンサも何も言い返せず、うつむく。

「・・・・・・なさい」

「聞こえないわよ」

「ごめんんさい、お母さんが悪かったわ」

 しょんぼりと謝る。

「ホント、悪いお母さんだよね」

 ロレッタはミケラを抱きしめて頭を撫でる。

「悪いお母さんじゃないもん、お母さんはお母さんだもん。お姉ちゃん嫌い」

 ミケラはロレッタの腕の中で怒る。

「違うのよミケラ、今のは本当にお母さんが悪かったの。それをお姉ちゃんが止めてくれたのよ」

 タマンサが優しく語りかける。

「お母さんが悪くて・・・お姉ちゃんが止めてくれた・・・・・・?」

 幼いミケラにはまだ理解出来ない話だ。

「ごめんね、お母さんがもっとしっかりしなくちゃね」

「そうよ、ミケラはお母さん大好きっ子なんだから。変な事覚えて大きくなったら困るよ。特に母さんは常識が少し変なんだから」

「わたしも、わたしもお母さん大好きだよ」

 状況が判らず、サクラーノがタマンサに抱きつく。

「お母さんもサクラーノとミケラ、二人とも大好きよ」

 ロレッタが抱きしめていたミケラをタマンサの方へ押す。

 ミケラはロレッタの顔を見てから、直ぐにタマンサに抱きついた。

 二人を抱きしめて頭を撫でるタマンサ。

 その様子をほっとした顔で見るロレッタ。

「で、わたしは?」

 とロレッタに聞かれ、タマンサはしばし考えてから、

「頼りにしているわ」

「そこは大好きとか、愛しているでしょ!」

 怒るロレッタ。

「だって可愛げがないんだもん」

 すかさずハリセンで再び張り倒される。

「もう、これだから」

 プンスカ怒りながらロレッタはステージに戻る。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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