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6話「お妃様の陰謀 82」

「タマンサさん、何をするんですか」

 慌てて取り返そうとするモモエル。

「いやっ、これ頂戴」

 タマンサはモモエルから奪った箱をしっかりと胸に抱え込んで、離そうとしない。

「頂戴って・・・」

 一つ目ちゃん事態が機密情報の塊なので、その部品を使っているモノを頂戴と言われてホイホイと上げられるものではない。

「ダメです、それはうちの備品ですから。勝手に上げたらわたしが怒られます」

「所長なのに?」

「所長でもダメなモノはダメなんです」

 モモエルは魔法道具研究所では好き勝手やっているが、それはあくまでも所員が目をつぶっているからだった。

 もしタマンサの要求を飲んで上げてしまったら、確実にサビエラに怒られる。

 それに、頼まれている事も出来なくなってしまう。

「お願いです、わたしが怒られちゃうので返して下さい」

 半分泣きそうになりながらタマンサにお願いする。

「ちょ、ちょっと泣かないでよ。わたしがいじめているように見えるじゃない」

「いじめられてます、わたし」

 モモエルはうるうる目で訴えた。

「わ、判ったわよ。返す、返します」

 タマンサは名残惜しそうに箱を見てからモモエルに返した。

「ありがとうございます」

 途端に表情がニコニコ顔になり受け取るモモエル。

 さっきの泣き顔はなんだったんだと突っ込みたくなるタマンサ。

「でも、何故これが欲しかったんでか?」

 ふと疑問に思ってモモエルは尋ねた。

「それは勿論、ミケラとサクラーノの姿を残す為よ」

 その言葉に心がぐらっと動くモモエル。

 そのモモエルの心の揺れを、

「食い付いた」

 とタマンサは見逃さなかった。

「いい、ミケラもサクラーノも今が一番可愛い盛りなのよ。これから歳を重ねるごとに可愛げが無くなって最後にはああなるの」

 と言いつつロレッタを指さす。

「可愛げがなくて悪かったわね」

 ステージで飾り付けをしていたロレッタは、手にしていた紙風船を投げつけた。

「ねっ、ああなるのよ」

 どうよと言う顔をするタマンサ。

「あはははは」

 それに苦笑いするしか出来ないモモエルだった。

「だから可愛い二人の姿をそれに残しておきたい、モモエルなら判ってくれるわよね」

 モモエルの肩をタマンサはがっしりと掴む。

「はい、判ります。ミケラ様の可愛い姿をわたしも永遠に残しておきたいです」

「あなたなら判ってくれると信じていたわ」

 見つめ合う二人。

 二人の間に異様な色のオーラが交差した。


                       (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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