表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/592

2話「城下の黒い影 その12」

「バインド」

 横合いからバインド放たれ虎次郎は身動き出来なくなり倒れる。

「助かったぜタマーリン」

 チャトーラは額の汗を拭う。

「なんなんですかこの方は、あんな物騒な殺気をミケラ様の前で放つなんて。本当に常識の無い方ですわね」

 タマーリンが扇子で扇ぎながら、しゃなりしゃなり歩いてくる。

「このバカがいきなり姫様に求婚しやがったっんだよ」

 タマーリアの頬が僅かに引き攣った。

「パラライズ」

 いきなりパラライズを男に放つ。

「うひゃひゃひゃひゃ」

 黒づくめの男が手足を引きつらせて悶絶する。

 パラライズも拘束魔法なのだが、相手を麻痺させる魔法だ。

 ただし高魔力で使用された場合、余った魔力が身体を駆け巡り高圧電流を流されたような激痛が走るのだ。

 それを知っていてタマーリンは高魔力でパラライズを放ったのは言うまでもない。

「ほほほほほ、ミケラ様に求婚?この場で命を奪われないだけ感謝なさい。ほ~ほっほっほっほっ」

 高笑いするタマーリンの目の前で痺れて悶絶していた男が、突然何事も無かったように起き上がった。

「何なんですかあなたは!」

 タマーリンが絶叫に近い驚きの声を上げる。

「姫様がドラゴンさんとか言ってたな」

「はい、そのドラゴンです」

 黒づくめの男が自分を指差す。

「ドラゴン?たかがドランゴン如きがわたくしの魔法を、こうもあっさりと破れるわけありませんわ」

 タマーリンが更に目を釣り上げる。

「い、一応神龍をやらして貰ってます」

 申し訳なさそうに黒づくめの男が頭をポリポリ搔く。

「しんりゅぅぅ~っ!ゴッズドラゴンですのあなた!」

 タマーリンが目を丸くして驚く。

「えっ、そんなに驚く事なの?」

 タマーリンの驚きように訳がわからずキョトンとするチャトーラ。

「あなたバカですの?ああバカでしたわね」

 ふっと鼻先で笑う。

「ゴッズドラゴン、その名の通りドラゴンの神。神なんだから出会えることそのものが奇跡なのですよ。文献に確認が記されたのは千年以上前、もう伝説の世界の話ですのよ。それが目の前にいますのよ、それがどれだけ貴重な事かお判りになります?」

「伝説とか、それほどでも」

 黒づくめの男が照れる。

「パラライズ」

「うひゃひゃひゃひゃ」

 黒づくめの男が再び悶絶する。

「魔力を倍にしましたからゴッズドラゴンでもしばらく動けませんわよ」

 高笑いをするタマーリン。

「わたくしのミケラ様に結婚を申し込むなんて、天が許してもわたくしが許しませんわ」

 悶絶して苦しむ黒づくめの男を仁王立ちで指差す。

「あいつやばくね?」

「やばいじゃん、やばいじゃん」

「四露死苦」

 屋根の上で下の様子を見ていた妖精達がタマーリンを見ながら話す。

「ひ~め~さ~ま~は~き~さ~ま~の~も~の~で~は~な~い」

 バインドで拘束されていた虎次郎がふらふらと立ち上がった。

「あらら、ドラゴンですら1時間は拘束出来るわたくしのバインドから数分で立ち上がるなんて、あなたもとんだ化け物ですわね」


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)


2023/09/30 一部修正



                       (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ