6話「お妃様の陰謀 69」
「それが、異世界からの転生者をミケラ様が偶然見つけて保護してくれたんです、それで異世界の話を色々と伺って・・・・・・三目ちゃんに使われているプロペラとかサスペンションとか出来たんですよ」
ニコニコと笑うモモエル。
あの晩、武茶士に質面責めにした挙げ句の成果が三目ちゃんだったのだ。その日以来、武茶士はモモエルや魔道具研究所からの呼び出しに応じなくなったというから、さぞ凄まじい物だったのだろう。
とは言え、転生前の武茶士は経済学部卒業のアニオタ、機械の話はあまり詳しくない。
取引先の技術者から聞きかじった話をモモエルにしただけなのだが、それでもモモエル達には衝撃的だった。
コイル型スプリングやオイルダンパーという概念すらない世界に、突然その概念が降って湧いてきたのだから当然だろう。
うろ覚えの武茶士の説明から、実際に物を造り出してしまうモモエルと魔道具研究所恐るべしであった。
「ぬぁにぃぃぃ!異世界からの転生者だと、そいつに俺も会わせろ!」
モモエルの胸ぐらを掴むクッロウエル。
「く、クッロウエル様・・・ぐるじぃいです」
クッロウエルの怪力で締め上げられ、もがくモモエル。
「おっとわりい」
クッロウエルは掴んでいた手を離す。
「引き合わせて上げたいのはやまやまなんですが、今は無理です」
「なんでだ、お前達だけ話を聞いてずるいじゃないか。俺も会って話を聞きたい、聞きたいぞぉぉぉ!」
子供のように駄々をこねるクッロウエル。
「今、武茶士・・・転生者の名前ですけれど、勇者のタレントを持っているので砦に呼ばれて行ってますから」
「砦か」
砦という言葉にクッロウエルは苦い顔をして黙ってしまう。
「来たばかりの奴を、いくら勇者のタレント持ちでも・・・それほど戦況は厳しいのか?」
「のようです、最終防衛戦とまで言われているタマーリンさえ呼ばれて行きましたから」
「タマーリンて、ガキの頃に忍びの里を半壊させたあのタマーリンの事か?」
頷くモモエル。
「・・・」
絶句するクッロウエル。
忍びの里とは懇意にしていたクッロウエルが当時、呼ばれて里を訪れ、里の半分が灰と化した光景を見た時は何が起こったのか頭が追いつかなかった程だ。
しかも、それをやったのが八歳の子供で、その子供を功を焦った里の者が攫ったのが原因だという。今、思い出しても頭の痛く話だった。
「大丈夫なのか、今回は?」
「大丈夫ですよ、砦がもし抜かれても今は王都にはクロさんがいますから」
「クロ?誰だそいつは」
「神龍です」
「へっ、なんだって」
思わぬ名前が出てきて間の抜けた顔で聞き返すクッロウエル。
「だから神龍なんですよクロさん、ミケラ様と結婚するんだって言って今、王都に住み着いているんです」
「神龍が王都に住み着いているとか、逆に危なくねえか。それにミケラ様って、まだ六歳だろ・・・・・・」
展開について行けなくなって目を白黒させるクッロウエル。
「そうですね、まっ、神龍の価値観や性癖はわたし達じゃ判らないですから」
さらっとクロの事を異常性癖の持ち主だと言ってしまうモモエルであった。
後書き
花守みゆり、やっべー
カワイスギクライシスで2分に一回のペースで絶叫してるよ。
花守みゆりと言うとゆるキャンの撫子とか転すらのしずさんが有名だけど、
男の子の声も結構演じてるんですよね。
宇宙からの女スパイという設定なのに声は男の子、しかも画伯寄り。
かなりやばいですよ、収録終わるまで声が保つのか心配になります。
ではまた来週(^_^)/~
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