表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/589

6話「お妃様の陰謀 56」

 その頃、広間では。

「母さん達もいなくなっちゃったし、これからどうしよう?」

 ロレッタがどうした物か考え込んでいた。

 このまま放置しておくと、ミケラとサクラーノが飽きて騒ぎ出すのは目に見えている。

 ミケラ一人ならなんとかなるが、サクラーノが癇癪を起こして走り回りだしたら手が付けられない。

 それだけはなんとしても避けねばならぬ。

「姫様、サクラーノ。紙がまだ有るから風船作ろうぜ」

「うん姫様、風船もっと沢山作ろう」

 ロレッタの心配を見越したようにチャトーラがミケラ達に声をかけてくれた。

「作る、作る」

「わたしも作る」

 ミケラもサクラーノもタマンサがいなくなって暇を持て余していたので、手を上げて喜ぶ。

「よっしゃ、ロレッタ紙くれや」

「あたしにも」

「わたしも」

「わたしも」

 紙の催促をされて、

「はいはい」

 と言いつつ貰ってきた紙をミケラ達の前に置く。

 ミケラ達は早速、風船作りに夢中になってくれた。

 ロレッタはほっとするが、紙の枚数にも限界が有るし、ミケラ達が風船作りに飽きてしまわないとも限らない。

「それまでに次を考えておかないと」

 紙風船を数個作ったあたりでサクラーノの手が止まり始めた。

 ロレッタの予想通り、飽き始めたのだ。

「あら、サクラーノはもう紙風船作らないのかな?」

 サクラーノに声をかける。

「うん、もうつまんない」

 興味なさそうにサクラーノは作った紙風船を指でつつく。

「そうか、じゃあ今度はお絵描きしようか?」

「お絵描き?」

「そうよ、ほらこれで風船にこうやって顔を描いてみよう」

 ロレッタは墨の付いた筆で紙風船に目と口を描く。

「やるやる」

 サクラーノはロレッタの手から筆を奪い取ると早速、紙風船に目を描くが、なんかいびつな形になる。

「きゃははは、変なの」

 隣で見ていたミケラが笑うと、

「じゃ、ミケラが描いてみたら」

 サクラーノが筆をミケラに押しつけた。

「ふふん、見ててよわたしはお絵描き得意なんだから」

 ミケラが意気揚々と紙風船に目を描いたが、やはり変な形の目になった。

「ミケラだって変なんじゃないか」

 サクラーノが笑うと、

「うぅぅぅ・・・変じゃないもん、これは・・・そうよ、芸術なのよ」

 かなりの意地っ張りだ。

「変は変だよ」

 しかし、サクラーノには効果がないようだ。

「変じゃないもん、芸術だもん」

 言い合いが始まった。

「こらこら、ケンカしないの」

 速攻でロレッタが止めに入る。

「だってサクラーノが」

「だってミケラが」

「はいはい」

 ロレッタは慣れた感じで二人をいなす。

「そうだ、赤いのも有ったわね。それでお鼻を描いてみよう」

 ロレッタはまだ使っていない筆に朱墨を付けると、目と口の描いてある紙風船に丸く塗りつぶした赤い鼻を描いた。

「ほら、お鼻が出来た」

「わぁ」

「赤いお鼻だ」

 ロレッタの描いた赤い鼻にミケラもサクラーノも目を丸くして見入っていた。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ