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6話「お妃様の陰謀 52」

「お前ら何やってんだ?」

 クッロウエルのダミ声が広間に響き渡る。

「あっ、紙風船だ。懐かしい」

 タマンサがお膳の上に積まれた紙風船を見つけ、懐かしそうにお膳の前に座る。

「これどうしたの?」

「みんなで作ったんだよ、お母さん」

「わたしも作ったんだよ、お母さん」

 ミケラとサクラーノが説明した。

「二人とも偉いわね」

 タマンサは二人を抱きしめて頭を撫でる。

 無邪気に喜ぶ二人。

「そうだお母さんも作りたくなっちゃった、紙はまだ有る?」

「宿の女将さんから貰ってきたのが有るわよ」

 ロレッタが女将から貰ってきた紙を手渡す。

「てい」

 突然、クッロウエルのチョップが座っていたモモエルの頭に炸裂した。

「痛い、な、何をするんですかクッロウエル様」

 頭を押さえて逃げようとするモモエル。

「お前はバカだろう、女将から紙を貰って来ただと?工房に製図用の紙が幾らでもあるだろが」

「あっ」

 移動工房の中に、設計図を引くための紙がかなりの量が置かれているのだ。

 クッロウエルに言われるまで、その事をすっかり忘れていたのだった。

「忘れていました、すみません」

「手先が起用で機転も利くが、どうも肝心な所で抜けてるよな・・・そういう所を指導しないで逃げ出した俺にも責任があるけどよ」

 クッロウエルは溜め息をつく。

「ここに居る間、みっちり仕込むからそのつもりでいろよ」

 ぶっきらぼうに言うクッロウエル。

「宜しくお願いします」

 尊敬するクッロウエルにまた指導してもらえると喜ぶモモエル。

「出来た」

 クッロウエルとモモエルがやりとりしている間にタマンサは紙風船を完成させていた。

「久しぶりだからどうかと思ったけど、我ながら良く出来てるわ」

 タマンサの作った紙風船はモモエルが作った紙風船と遜色そんしょくない出来映できばえだった。

「お母さん凄い」

「うん、お母さん凄い」

 ミケラとサクラーノが目を丸くして驚く。

「うふふふ、ありがとう」

「本当に凄いよタマンサさん、わたしと姉ちゃんはこんなんだもん」

 白妙と黒妙の作った紙風船は少しいびつな形をしていた。

「裁縫が好きだから、ちょっとだけ手先が器用なだけよ」

 笑うタマンサ。

「そうだ、みんなこれを見て」

 タマンサは持ってきた紙の束を広げる。

「なんですかこれは?」

 白妙が尋ねる。

「ステージ衣装の型紙よ」

「ステージ衣装?」

「そうよ、ミケラとサクラーノとチャトーミがステージで着る衣装」

 ミケラとサクラーノは宴会のステージに出るのは決定事項のようだ。

「だったらマオちゃんのも作って」

「マオちゃんの分?」

「うん」

 ミケラはキラキラする目でタマンサの顔を見上げた。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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