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6話「お妃様の陰謀 49」

「女将、相談があるんだが」

 クッロウエルは宿の女将の部屋に向かい、直談判に入る。

「またなんですか、あらたまって・・・なるほど、これで料理を運べば一度に沢山運べるようになるんですか」

 女将はクッロウエル達が押してきたワゴンを興味深く見る。

「王宮じゃこれで問題なく使われてんだけどな、ここは廊下に絨毯引いてあるから実際に使ってみてから手直ししないとならねえわけだ」

「委細承知致しました、協力致しましょう」

 女将はあっさりと承諾した。

「いつもながら話が早くて助かるぜ」

 クッロウエルの言葉に女将は笑みを漏らす。

「いえいえ、どうせ断っても無理強引にやってしまうでしょ?断るだけ無駄ですから」

「がははははは、女将、俺のことをよく判ってんじゃねえか」

 クッロウエルはがははははと笑う。

「誉めているわけじゃないんですけどね」

「ク、クッロウエル様・・・・・・」

 女将は溜め息をつき、モモエルは決まり悪そうに視線を逸らした。

「まっ、うちにとっても悪い話じゃないし。クッロウエル様、頼みましたよ。板場の方には話を通しておきますから、少々お時間を下さい」

 クッロウエルは

「うむ」

 と頷く。

「あいつはちと頭の硬い所があるからな、じゃあ頼む」

 女将に手を振りながらクッロウエルは元来た道をワゴンを押しながら来た廊下を戻る。

「あの、あいつってどなたのことでしょう?」

 モモエルが気になって聞く。

「板長のことですわ、腕は良いんですけど昔気質むかしかたぎなので、新しいモノをなかなか受け入れられなくて」

「ああ」 

 とモモエルは声を出してしまう。

 王宮でも古い大臣に新発明を説明してもなかなか理解されず、手こずることがしょっちゅうあったのだ。

「どこでも大変なのですね」

「本当にね」

 モモエルも女将と一緒になって溜め息をつく。




 女将が板場に向かうのを見送ってから、モモエルはクッロウエルの後を追う。

 クッロウエルは移動工房ではなく広間の方に曲がったので、モモエルもそれに続く。

 モモエル達が広間に着くと、皆に拍手される黒妙の場面に出くわす。

「何かあったんですか?」

 何事かとモモエルが聞く。

「おお、モモエル。丁度いい所に来たのう」

 マオがモモエルの顔を見て、手招きして呼び寄せる。

「な、なんですかマオ・・・」

 不審そうにマオに近寄るモモエル。

「な~に、ちょっと相談に乗って欲しくてのう」

「相談ですか?」

 マオから相談なんて珍しいなと思うモモエル。

「白妙、モモエルにお主の技を見せてやってはくれぬか?」

「は、はい。いいですよ」

 白妙は返事をすると、ステージに向かい、もう一度没スケッチに向けて針を投げた。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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