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6話「お妃様の陰謀 47」

「そうね・・・それは黒妙が使いなさい。わたしの的は・・・あれは何かしら?」

 お膳の上に紙切れが何枚か置かれていた。

 白妙が確認のために手に取ると、タマンサが描いた衣装のデザインだった。

「バッテンや、黒く塗りつぶしてあるから使えないデザインでいいのかしら?」

 没デザインの紙を手に持って白妙はしばし考える。

「うん、これでいこう。黒妙、手伝って」

 二人は広間を出るとしばらくして薪に使う丸太を数本担いで戻ってきた。

「じゃ、丸太をここに置いて。丸太にこうしてこうする」

 二人は持ってきた丸太をステージに倒れないように立てかけると、丸太にタマンサが描いた没デザインの紙を貼り付ける。

「よし、こんな感じね」

 白妙は満足そうに頷く。

「じゃあ、わたしからいくわね」

「みんな、姉ちゃんの技は凄いから、よく見てくれよ」

 黒妙が皆を集めて自慢する。

「余計なこと言わないでよ、プレッシャになるじゃない」

 文句を言いつつ、白妙は位置に付く。

 手を手裏剣の入っている腰のポーチに伸ばしかけて、

「的が小さいから手裏剣だと厳しいかな・・・じゃあ、こっちにしよう」

 右手を温泉に入る時も外さなかったリストバンドを両手に巻いていた、左のリストバンドに右手を添えると素早く右手を振った。

 続けざま、左手を右手首のリストバンドに添えて今度は左手を振るう。

「よっし」

 白妙には珍しくガッツポーズを取る。

 あまりの速い動きに、見ていたミケラやロレッタは何が起きたのかさっぱり判らず顔を見合わせた。

「ほお、見事なモノじゃな」

 マオが感心したように白妙を誉めた。

「どうよ、姉ちゃんの技は凄いだろ」

 黒妙が自分のことのように胸を張る。

「ホントだ、凄いよ姫様。こっちこっち」

 いつの間にかステージに上がっていたチャトーミがミケラを呼ぶ。

 呼ばれてミケラがステージにいるチャトーミの方へトコトコ走ると、ロレッタやサクラーノ達もゾロゾロと付いて行く。

「おっ、これはマジですげえな」

 チャトーラが驚きの声を上げた。

 丸太に張られた三枚の没デザイン画の両手の部分全てに、針が一本ずつ突き立っていたのだ。

「一本ずつ投げたって俺には無理だぞこれ」

「凄いよね、二回しか投げなかったのに全部当てるなんて」

 白妙は二回しか投げていない、つまり一回で三本の針を投げて別々の目標に命中させているのだ。

 驚きの技に、みんなは白妙に拍手をした。

「あ、ありがとうございます」

 照れまくる白妙。

「それじゃ次、わたしね」

 黒妙が元気よく手を振る。

「みんな、そこにいると危ないから戻ってきて」

 白妙がステージにいるみんなに声をかけて下がらせる。

 入れ替わりに白妙が果物を抱えてステージの方へ行く。

 みんなが安全な場所まで下がったのを確認してから白妙は黒妙に手を上げて合図する。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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