6話「お妃様の陰謀 37」
裏庭から皆が部屋に戻り始めた頃、サクラーノは目を覚ます。
「あれ、ここはどこ?わたし、なんで寝てるの?」
自分が部屋に寝かされていたので不思議そうな顔をする。
「サクラーノ、目を覚ました~~~」
じっと寝ているサクラーノの手を握っていたミケラが、サクラーノが目を覚ましたのに気がつき抱きついた。
「うぎゃ・・・く、苦しいよミケラ」
寝起きにいきなり抱きつかれてもがくサクラーノ。
「姫様、サクラーノが苦しがってるよ」
チャトーミがミケラを抱き上げてサクラーノから引き剥がす。
「姫様、寝てる人の首をぎゅってしちゃダメなんだよ。苦しいから」
「ごめんなさい」
素直に謝るミケラに、
「姫様は素直でいい子だね」
ニコニコ笑いながら膝に抱いたミケラの頭を撫でる。
その間にサクラーノは身体を起こしていた。
「なんでわたしここに居るの?」
聞かれて、
「冷蔵庫の中で扉に体当たりした後動かなくなったんだよ、びっくりしちゃった」
ミケラが説明する。
「あっそうか、いつものあれか。きゃははははは」
サクラーノは無邪気に笑う。
「笑い事じゃないでしょ。サクラーノが倒れた後、ミケラが冷蔵庫の外に出してくれたんだよ。気を失って寝ている間も、ミケラがず~~~~~っと手を握っていてくれたんだからね」
怒るタマンサ。
「いいのお母さん、こうして手を握って上げた方がサクラーノは早く元気になるから。だからいいの」
それは本当だ。
ミケラが側にいた方がサクラーノは早く体力を回復する、その事をなんとなく感じ取っていた。
理由は判らなくても子供ながらに、サクラーノに早く元気になって欲しいという一心からしたことなのだ。
「それより何であなた達、冷蔵庫に入ったの?入っちゃいけないって言ったでしょ」
「一人で入っちゃいけないって言われたから、ミケラと入ったよ」
「誰かと一緒じゃなきゃダメって言われたから、サクラーノと一緒に入ったよ」
言われたことは守ったと言うミケラとサクラーノ。
二人の言い分を聞いて、
「あっ」
タマンサはやっと自分たちのミスに気がついた。
「すみません、わたしの言い方が悪かったです」
話の最中に裏庭から戻ってきたモモエルが、その場で謝る。
「そうね、ちょっと浮かれていてモモエルの言ったことをきちんと考えなかったわたしにも問題あるわね・・・」
タマンサは少し考えてから、二人の前にしゃがむと、
「いい、これからは冷蔵庫に行きたくなったら大人の人と一緒でないとダメよ。入るなら宿の人にきちんと入っていいか聞いてからね。わかった?」
「うん」
「は-い」
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