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6話「お妃様の陰謀 32」

 本当にそれはモモエルが魔法具研究所に入ったばかりの頃の話だった。

 その頃のモモエルは魔法の理論体系には興味はあったが、自分で使ってみようという気持ちはまるでなかった。

 あくまでもモノ造りの知識の一つでしかなかったのだ。

 そんなモモエルの魔法の才を見抜き、開眼させたのが第一王子で司祭のシバエルだった。

 シバエルのタレントは導き手、そのタレントを生かすため王位継承権を放棄して司祭の道へと進んだのだ。

 導き手の能力はその名の通り、人を導く力。

 タレントを含めた能力の導きから、才覚の見極め、恋の相談まで幅広く対応していた。

 ハンサムで優しいので貴族の御婦人から街の女性陣まで幅広く人気があり、更に的確なアドバイスをしてくれるので、悩める青少年からも絶大な支持を集めていて所謂いわゆるカリスマ司祭として崇められていた。

 たまたま王宮に来ていたシバエルがたまたま王宮に来ていたモモエルとすれ違い、その瞬間、シバエルがタマーリンと会った時と同じくらいの波動を感じたのだ。

 その場で捕まったモモエルは、否応いやおうも無く魔法のスパルタ教育を受ける羽目になったのである。

 所長の座に着く前は、ミケラの生活の支援をしながら魔法具の研究をし、更にシバエルに魔法のスパルタ教育をされると言うブラック企業並の生活をしていたのだった。

 これもひとえにモモエルの貧乏くじ体質のなせる技なのだろう。

 だが、その甲斐あって今では「神の理を暴く手」とまで言われる物体鑑定を習得し、分解しなくてもモノの性質や構造が判るようになっていたのだが。

「そうか、今は物体鑑定使えるんだったな・・・歳かな、時々記憶がすっぽり抜けることがあるぜ」

 と年寄りぶるクッロウエルを白い目で見る宿屋の一同。

 その時、モモエルの手にした箱が振動した。

「近くまで来たようです」

 モモエルは箱の振動を止めてから、

「女将さん、どこか広い場所はありますか。出来れば平らで外から見えない場所がいいです」

 と尋ねた。

「そうね、裏庭なら外から見えないしかなり広いですわ」

「ありがとうございます」

 礼を言うと、クッロウエルに向き直って。

「見せたいモノがあります、一緒に来て下さい」

「お、おう」

 よく判らないがモモエルが真剣な眼差まなざしをしていたので、つい返事をしてしまう。

 返事を聞くなりモモエルはスタスタと歩き始めた。

「ちょ、ちょっと待てよ」

 慌てて追い掛ける。

 モモエルは一旦自分の部屋の有る一角に寄ると、眠っているサクラーノを心配そうに見つめているタマンサ達に声をかける。

「すみません、人手がいるのでどなたかお手伝いしていただけないでしょうか?」

 タマンサ達は顔を見合わせたが、

「わたし達が行きます」

 白妙姉妹が立ち上がると、

「予も行こう、力には自信がある」

 マオも立ち上がった。

「じゃ、わたしも行くわ。母さんとチャミはサクラーノとミケラをお願いね」

 ロレッタも手伝いを申し出てくれる。

「うん、姫様のことは任せて」

 寝ているサクラーノの手をじっと握りしめているミケラの横に座っている、チャトーミがロレッタにウィンクする。

「お願いね」


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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