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6話「お妃様の陰謀 26」

「わたし達光ってるよ」

「ホント、不思議だね」

 自分たちを包む光を不思議に思いながら、ミケラとサクラーノはその光のおかげで不安がなくなった。

「これからどうしよう?」

「入り口に戻ろう」

 サクラーノの提案に、

「うん」

 ミケラは頷く。

 足下がやっと見える僅かな光と、手探りを頼りに二人は入り口までたどり着く。

「ダメだ、開かないよ」

 サクラーノとミケラが力一杯押したが入り口の扉はびくともしない。

 元々、子供の力では開けられないくらいに扉は重く、更に外から丈夫な閂がかけられているのだ。

 二人がいくら力を込めて押した所で開くはずもない。

「開けて、ここを開けて」

 ミケラは諦めずに扉を叩いた。

 子供の力で叩いても重い扉の前にはほぼ無力であったが。

 その横でサクラーノは幼いながらも何とかしようと頭を巡らせる。

「よしっ、わたしがミケラを守る」

 何かを決めたようだ。

「ミケラ、少しこっちへ行って」

 サクラーノはミケラを扉の端の方へ移動させる。

「どうする?」

「わたしが体当たりで扉を開ける」

 きっぱりと言うサクラーノ。

「で、でも」

「大丈夫だから、ミケラはそこに居て」

 サクラーノは扉とは反対側に向かった。

「サクラーノ大丈夫?」

 まだ二人を結ぶ光は切れておらず、サクラーノの姿もぼんやり光って見えていた。

 それはサクラーノも同じで、光るミケラの横をめがけて体当たりするつもりなのだ。

「わたしがミケラを守る、だってわたしがお姉ちゃんだから」

 叫ぶと、サクラーノは力の限りに床を蹴った。





 少し前。

 最初にミケラが居ないのに気がついたのはミミだった。

「あれ?姫様いなくない?」

「ホントじゃん、サクラーノも居ないじゃん」

「四露死苦?」

 ミミ達の言葉に固まる大人達。

 そこへ壁を巨大なハンマーで殴りつけたような、腹に響く激しく重厚な響きが伝わってきた。

「サクラーノ!」

 タマンサが部屋を飛び出す。

 理屈ではい、母親の勘がそうさせたのだ。

 ロレッタも直ぐその後に続いた。

 白妙、黒妙も慌ててその後を追う。

「ウィング!」

 マオも翼を広げて飛び立とうとしたが、

「マオ、お願い。キティーも連れて行って」

 モモエルがマオを呼び止める。

 キティーは回復魔法が使える。

 向かう先でキティーの力が必要になるかもしれない。

「判ったのじゃ」

 マオはキティーの身体を掴むと全速力で廊下を飛んだ。

 瞬く間に、先を走るタマンサ達の頭の上を飛び越える。

 それを見て、タマンサとロレッタに道を塞がれて進めないでいた白妙と黒妙は、一旦二人から離れると勢いよく走り出すと、一気に二人の頭上を飛び越えてマオの後を追う。

 二度目の衝撃音が響く。

「冷蔵庫の方じゃ」

 音の出所を見極めたマオはキティーの身体をしっかり抱きしめて冷蔵庫を目指す。

「入り口が見えたのじゃ」

 マオ達の視界に冷蔵庫のある部屋の入り口が

(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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