6話「お妃様の陰謀 21」
三目ちゃんの下でコンテナが流れ、コンテナが止まるとそのコンテナを三目ちゃんの爪ががっちりと抱え込む。
「コンテナ、固定完了」
「三目ちゃん移動開始、同時に射出口周辺に警告発令」
『毎度お騒がせします、こちら魔法具研究所でございます。これより三目ちゃん緊急発進致します、危険ですので至急噴水周辺から退去お願い致します』
王宮と魔法具研究所の間にある噴水周辺に唐突にアナウンスが流れた。
「魔法具研究所・・・」
その名前に噴水周辺を歩いていた人達の動きが凍り付いた。
「やべぇ、あいつら又何かやらかすつもりだ」
「巻き込まれないうちに逃げろ」
悲鳴を上げて我先に噴水周辺に居た人たちが逃げ惑う。
あっという間に噴水周辺から人の姿が消えた。
「噴水周辺、人影ありません」
数機飛ばされた一つ目ちゃんからの映像が投影機に映し出される。
「ゲートオープン」
『ゲートオープン、ゲートオープン』
アナウンスが響くと共に噴水が横にスライドして、三目ちゃんの発射口が露わになる。
「三目ちゃん上昇」
三目ちゃんを乗せたリフトが上昇を始め、ついにはその姿を地上に現した。
「三目ちゃん、上昇終了」
「人工魔力発生装置作動」
「人工魔力発送地作動します」
人工魔力発生装置はその名の通り、人工的に魔力を発生させる装置だ。
三目ちゃんは一つ目ちゃんの2号のおよそ10倍、長さは5メートル程になっている。
大きくなった分、積載量は100倍にまで強化されていた。
その出力を支えているのが人工魔力発生装置なのだ。
各国で研究は進んでいるが、実用化に至っている国はまだない。
魔法具研究に関して他国より抜きん出ているケットシー王国も例外ではなく、三目ちゃんに搭載されている魔力発生装置も出力が安定しなく、とても実用に耐える代物ではなかったのだ、今までは。
安定しない出力を安定させる発明がなされたのだ。
その名も魔力キャパシター。
出力の安定しない魔力発生装置からの魔力を一旦、魔力キャパシターで貯め、安定しない出力を安定させるのだ。
魔力を貯める道具は既に存在していて、魔力灯や着火機のエネルギー源として魔蓄の名で街の人たちに愛され、魔蓄への魔力充填は魔法学校の重要な収入源にもなっていた。
ただそれは平均的魔術師が充填するように作られており、魔力発生装置の高出力には耐えられないのだ。
魔力発生装置の高出力に耐えられるように作られたのが魔力キャパシター。
但し、どちらも国宝級の素材を制作に必要とし、量産が出来ないのが最大の悩みだった。
「魔力キャパシター充填はじまりました」
魔力キャパシターの充填量が魔法投影機の画面の端に表示される。
「魔力キャパシターの充電、充電刻み9」
刻み10で満充電である。
「プロペラ展開」
プロペラの羽を束ねていたロックが解除され、プロペラがゆっくりと回転を始める。
「プロペラ展開しました」
回転によって四つあるプロペラ全てが広がった。
「魔道モーター、出力上昇、同調させるのも忘れるな」
「出力上昇、各モーター同調良し」
「固定ロック解除」
三目ちゃんを固定していたロックが解除され、三目ちゃんの機体がゆっくりと上昇を始める。
機体はそのまま200メートル程の高さに上昇するとホバリング状態に。
「誘導魔道波確認」
「モモエル様からの誘導魔道波問題なく捉えています」
所員の言葉に班長は頷く。
「三目ちゃん発信」
三目ちゃんのモーターの出力が上げられ、モモエルが発信する誘導魔道波に誘導され高速で飛行する。
何度も練習飛行はしたが、本格的長距離飛行はこれが初めてだ。
無事に目的地に着くまで、彼らは一時も目を離さずに三目ちゃんを監視しなければならなかった。
これが成功すれば、馬車で二日かかる距離を数時間で行けることになる。
国宝級の素材を五つも使っているのだ、そもそも失敗は許されない。
「これ失敗したらモモエルちゃんが大変なことになるからのう」
「モモエルちゃんを泣かせるわけにいかんぞ」
「皆の衆、頑張るぞ」
「お~~~っ!」
管制室は燃える男達の熱気に包まれる。
その影で班長は手に隠したボタンを押していた。
今週の後書きの時間です
三目ちゃんの発進時に流れるアナウンスの元ネタはトライダーG7の発進時に流れる
アナウンスです。
トライダーはスパロボでかなりお世話になりましたから、ここで恩返しwww
最近のスパロボは機体数多すぎるしし、戦艦が金稼ぐのでトライダーの出番が減ってしまって寂しいいです。
スパロボも最近やってないし。
ニーア・オートマタのアニメが始まったのでオサライがてら久しぶりにやったらもうハマりまくってます。
ではまた来週(^_^)/~
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