6話「お妃様の陰謀 17」
「偉そうな婆さん?」
その言葉に思い当たる人物は一人居た、そして余った二着の着物の使い道も。
「その手紙、白妙と黒妙宛てでしょ?」
「そうだよ、ちゃんと目の前で読んだのを確認してって言われたんだよ」
「やっぱり」
決まりだわとロレッタは心の中で思う。
「じゃ、呼ぶから。白妙~!黒妙~!お客さんだよ」
ロレッタはこれでもかというくらいの大声で白妙達を呼んだ。
「でもさ、ロレッタが姫様のお姉ちゃんだって知った時にはびっくりしたよ」
「わたしもよ、ミケラがあんた達を連れてお城に戻ってきた時は本当に驚いたんだからね」
ロレッタとチャトーミ達は子供の頃からの知り合いで、仲も良かったがミケラとは歳が離れていたのでチャトーミ達に紹介する機会が無かったのだ。
チャトーミはミケラを膝の上に抱いて楽しそうに鼻歌いながら、ミケラの頭を撫でる。
「チャミ、ミケラをあまり甘やかさないでよ」
「いいじゃない、姫様可愛いんだから」
「もう、仕方ないんだから」
ロレッタもあまり強くは言えなかった。
チャトーラとチャトーミが本気だ身体を張ってミケラを守ってくれているのを、ミケラの話から知っていたから。
「ロレッタ、何ですか?」
白妙と黒妙が奥からやって来た。
「二人にお客さんよ、たぶんお妃様からの手紙ね」
「げっ」
お妃様からの手紙と聞いて、あからさまに嫌な顔をする黒妙。
「読むのを確認するように言われてるからよ、ちゃちゃっと読んでくれよ」
チャトーラが手紙を白妙に渡す。
渋々ながら黒妙は白妙と一緒にその手紙を読む。
「判りました、ご苦労様です」
白妙と黒妙が目配せをすると同時に動いた。
「何をしやがる」
「黒妙やめて」
チャトーラとチャトーミを後ろ手に縛って拘束してしまったのだ。
「ごめんよチャトーミ、わたしだってしたくないんだよ」
「チャトーラごめんなさい、命令なの、やらないとわたし達怒られるから」
白妙は手紙を見せた。
そこには、
『手紙を持って行った二人を捕まえて、一緒に宿の手伝いをさせなさい。失敗したら正座で一時間お小言コース。
メロディアン』
と書かれていた。
「げげ、何じゃこれは」
事態について行けないチャトーラが呻く。
「あれ?もう一枚手紙があるよ」
黒妙が手紙が二枚有るのに気がつく。
もう一枚の方には、
『チャトーラ、チャトーミへ。
悪いけどミケラと遊んでやっておくれではないかい。
仕事の方はこちらでやっておくから。
メロディアン』
と書かれていた。
「どうする兄ちゃん?」
「どうするってよ、姫様と遊んでくれって頼まれちゃ嫌って言えねえだろ」
「だよね」
チャトーラとチャトーミも巻き込まれることが決定。
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