表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/592

6話「お妃様の陰謀 11」

「このワーショウス、馴れれば美味しいわね」

 タマンサはワーショウスが気に入ったようだ。

「売店で売ってますからお帰りの際のお一ついかがですか」

 仲居に言われ、ロレッタの方を見るタマンサ。

 財布はロレッタが握っているのだ。

「うちで川魚、生で食べないでしょ」

 王都では魚は干物にするか煮物に使われるので、ワーショウスの出番は無いのだ。

「これ、お肉料理や炒め物にも合うんですよ」

 仲居がフォローする。

「肉料理にも・・・」

 ロレッタが食べ方を頭の中で考える。

 それを見て「よっしょあ」と拳を握るタマンサだった。


「次のお料理来ますので、テーブルの上を少し片付けますね」

 仲居が食べ終わった食器を片付けると次の料理が運ばれてきた。

 ずんぐりした鍋がやって来て、仲居が重そうな蓋を開けると不思議な香りが部屋に漂う。

 仲居は中身を器に盛って各人の前に配った。

「これはうちの宿の自慢の鍋なんですよ、熱いうちにお召し上がり下さい」

「熱いから、フーフーして食べるのよ」

 サクラーノがフーフーしてから口に入れて、

「熱い」

 と吐き出してしまう。

「火傷しなかった、大丈夫?」

 とタマンサはサクラーノの口を調べてから布巾で吐き出したモノを拭き取る。

「お母さんがやってあげるから」

 タマンサはレンゲですくい取ると「フーフー」と冷まして、レンゲを自分の口に入れて熱くないのを確かめてからサクラーノに食べさせる。

「お母さん、わたしも」

 それを見ていたミケラがねだる。

「はいはい」

 サクラーノにしたのと同じように熱くないのを確かめてから今度はミケラに食べさせる。

「お母さん、次はわたし」

 サクラーノが又おねだりしてきた。

「もう、お母さんが食べられないじゃない」

 と言いつつ、サクラーノに食べさせるタマンサ。

 ミケラは自分のレンゲですくって、フーフーしてからタマンサがしたように口に入れて熱くないのを確かめてから差し出す。

「あら、お母さんに?」

「うん」

「ありがとう」

 タマンサはそれをパクッと食べる。

「美味しいわ」

 それを聞いてミケラは嬉しそうに笑う。

「お母さん、わたしもわたしも」

 今度はサクラーノが自分のレンゲを差し出してきた。

「今度はサクラーノ・・・美味しいわ」

 タマンサはそれも美味しそうに食べる。

「わたし、わたし。今度はわたし」

「わたしも、わたしも」

 ミケラとサクラーノが同時にレンゲを差し出してきた。

「あらあら、お母さんモテモテですわね」

 仲居が笑う。

「可愛いのはこれくらいまでですわ、これから大きくなるに従ってかわいげが無くなってきて・・・」

 タマンサはトランスロットとロレッタの方をちらっと見る。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ