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6話「お妃様の陰謀 10」

「お食事の仕度が出来ましたので広間の方へおいで下さい」

 部屋で寛いでいるところへ仲居が案内に来た。

 部屋からぞろぞろ出てくる一同。

「さっ、こちらです」

 案内されたのは30人程が座れる広間で、演芸用のステージまであった。

 広間の真ん中にテーブルが並べられており、既に人数分の料理が置かれている。

「なんですかあれは?」

 タマンサがステージが気になったのか仲居に聞く。

「あれは、たまに芸人さんを呼んで芸を披露して貰うんですよ。うちは静かな温泉宿が売りなので、滅多に呼びませんがお祭りや何かの記念の時だけ特別に」

 案内して仲居がにこやかに説明する。

「それよりお食事ですね、お好きな席へどうぞ」

 テーブルの上には生野菜の山盛りと魚の煮物、鶏の唐揚げが置かれていた。

 皆が席に着くのを見計らって、仲居が柱のボタンを押す。

 別の仲居が幾つか皿を持ってきて並べた。

 皿の上には薄く切った魚の切り身が置かれている。

「この切り身はこの小皿にこの瓶の調味料を入れて、それを付けてお召し上がり下さい」

 仲居が食べ方の説明をする。

「生のお魚・・・違うわね、軽くお湯をくぐらして有るみたい」

 ロレッタが薄く切られた魚の切り身をフォークに刺して確かめるように眺める。

「はい、川魚は生で食べるとお腹を壊す事がたまにありますからその予防のために軽くお湯をくぐらせてあります」

「それと、こちらの調味料は辛いので少しだけ付けるようにして下さいね」

 言われてロレッタは瓶に入った調味料を手の上に少し垂らしてみる。

 ソースより黒く、水のようにさらさらした中に何かがすって入れてあるのが見えた。

 舐める。

「わーっ」

 鼻に抜けるような辛さに驚いてロレッタは声を上げる。

「これ、初めて召し上がった方は大抵「わーっ」と驚きますの。なのでこれはワーショウスと言いますのよ」

 仲居が笑いを堪えて説明をする。

「ホントにびっくりした、いつも使っているマスタードと辛さが違うからこれを初めて食べたらみんな驚くよ」

 ロレッタは変な所で納得する。

「そんなに辛いの?だったらミケラとサクラーノはダメね」

「そうですね、お子様にはこちらが宜しいかも。これ、生野菜用のドレッシングなんですがお魚にも合うんですよ」

 仲居がミケラ達にドレッシングを奨める。

「やだ、わたしもお母さんと一緒のがいい」

「わたしも」

 ミケラとサクラーノが駄々をこねた。

「ちょっと二人ともやめておきなさい、本当に辛いんだから」

 ロレッタが止めるが、

「やだやだ」

 と言って聞こうとしない。

「それじゃあ、ちょっとだけ試してみる?」

 とロレッタはフォークの先に少しだけワーショウスを付ける。

「わーい」

 と言ってサクラーノが早速、食いつき、一瞬で悶絶する。

「ミケラも食べる?」

 と聞かれ、悶絶するサクラーノを見て「い、いらない」と答える。

「ほら、サクラーノお水を飲んで」

 サクラーノに水を飲ませ、落ち着くのを待ってから、

「それではいただきます」

 全員でいただきますをしてから和やかに食事が始まった。


(Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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