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2話「城下の黒い影 その5」

「いた」

「いたじゃん」

「四露死苦・・・」

 妖精達の合図で身を潜めると、こっそりとミミが指差す方をミケラ達は見た。

「おっ、いるね」

「いる、いる」

「うん、いた」

「・・・」

 通り一つ先に、頭からマントのフードを被った黒づくめの怪しい奴が樽の影からしきりにあたりをキョロキョロと警戒している姿が見えた。

「流石姫さん、あたい達の手下が探しても見つからなかったのがあっさり出くわすとは。やっぱ、一緒についてきて正解だった」

「流石じゃん」

「四露死苦^^」

 ミケラといると何か面白そうなことがあると思って、妖精達はこの街に住み着いたのだ。

 それが正解だったと、たった今確信出来た。

「で、どうするよ」

「せっかく見つけたんだから、捕まえるさ」

 ミミがそう応じると、

「よっしゃ、任せておけ」

 と言うなり、チャトーラが走り出した。

 走のタレントを持つチャトーラはあっという間に通り一つ分を走り抜け、あと少しで手が届くと言うところで黒づくめの男が気が付き、

「ぎょぇぇぇぇ」

 情けない声を張り上げて腰を抜かす、がその御陰でチャトーラは男を掴み損ない派手に樽に突っ込んで樽と供に転がった。

「おたすけぇぇぇぇ」

 チャトーラが樽と転がっている間に黒づくめの男は悲鳴を上げて逃げていってしまう。

「何やってるんだよ」

「使えない猫じゃん」

「四露死苦^ヘ^」

 妖精達がやって来て、転がっているチャトーラをツンツン突く。

「兄ちゃん、カッコわる」

「面目ねぇ」

 チャトーミの助けを借りて立ち上がると、チャトーラは服についたほこりを払う。

「あっちに逃げたな、姫さん行こう」

 ミミがミケラを呼ぶと、一行は黒づくめの男の逃げていった方へ歩き始める。

「そこを行くのはチャトーミじゃないの」

 しばらく裏道を歩いていると、突然横合いから声を掛けられた。

「うげっ、タマーリン」

 チャトーミがあからさまに嫌な顔をする。

「嫌ですわチャトーミ、そんなに嫌わなくてもよろしいじゃありませんか」

 タマーリンがしゃなりしゃなりと歩み寄ってくる。

 歩く度にその豊かな胸が揺れ、チャトーラが鼻の下が自然と伸びる。

「兄ちゃん、どこ見てんのさ」

 チャトーラの頭を思いっきりひっぱたく。

「何すんだよ、痛てぇじゃないか」

 チャトーラは文句を言うが、

「ふん」

 とチャトーミはそっぽを向く。

 チャトーミは背も高くなく、スレンダーボディーで顔つきも子供ぽい。

 それに反してタマーリンは背が高くナイスボディーで、コンテストに出たら優勝間違い無しの美人だ。

「胸が重くて、肩が凝って仕方が有りませんの。チャトーミが羨ましいですわ」

 チャトーミの目の前まで来て、わざとらしく胸の下で腕を組んで持ち上げて見せる。


著作権表記追加                       (Copyright2021-© 入沙界 南兎)


2023/09/30 一部修正



                     (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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