表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/589

6話「お妃様の陰謀 01」

「むんっ」

 マオは右肩の上で両手で握りこぶしを作り力を込める。

「へんしん」

 素早く両手を振り回し、最後に右上に両手を揃えた。

 同時に背中に闇の翼が広がり、腰に巻き付きつくとベルトになる。

「とうっ」

 マオがジャンプする。

 腰に巻き付いた闇がマオの身体全体に広がり、漆黒の鎧へと変貌した。

「マオブラック惨状」

 着地と同時にポーズを決めるマオ。

「おおっ」

「わぁ、すごい」

 サクラーノとミケラが拍手して喜ぶ。

「どうじゃ、予の新技は」

 タマンサの闇を吸い取り、闇の翼を服に変形させる事が出来るようになったのだ。

 因みに闇の翼を変形させるためにポーズもかけ声も必要ない、ただ受け狙いのために練習したのだった。

「カッコいいよ、すごいよ」

「うん、本当にすごいと思う」

 サクラーノとミケラが喜んでくれているのを見て、マオはほっとする。

「練習した甲斐があったのじゃ」

 人気ひとけの無い所でこっそりと練習した日々を思い出す。

「でも、いつの間に出来るようになったの」

 ミケラが不思議そうな顔をしてマオの顔を見る。

「ふっ、予は魔王じゃぞ。日々進化しておるのじゃ」

 ここぞとばかりに胸を張るマオ。

「本当にこの鎧、カッコイイ」

 サクラーノがつつく。

「これ、触るでない」

 マオが慌ててサクラーノから逃げる。

「全然、触った感じがしなかった」

 サクラーノが首を捻る。

「わははは、ばれては仕方ないのう。影で出来た鎧じゃ、つまり防御力0。見かけ倒しじゃ。わはははははっ」

 情けない事をいいながらマオは豪快に笑う。

「防御力0って?見かけ倒しってなぁに?」

「見かけを・・・倒すんじゃないかな?」

「見かけを倒すの?じゃすごいんだ」

「そうだよ、すごいんだよ!」

 ミケラとサクラーノはよく判らないが、「すごい」「すごい」と言いながらマオの周りでピョンピョン跳び回る。

「あの子達、何やってんの?見かけ倒しがすごいわけ無いじゃないの」

 ロレッタが嬉しそうにマオの周りは跳ね回るミケラとサクラーノを不思議そうに見る。

「子供なんてあんなモノよ、あなただって小さい時はよく判らないもの見て喜んでいたんだから」

 タマンサは元気に跳ね回るミケラとサクラーノを見て微笑む。

「そうなの?」

「そうよ、あなたも子供が出来れば判るわよ。誰かいい人はいないの?」

 思わぬ話になって、

「いないいない、あははは」

 と笑って誤魔化す。

 慣れないお城勤めをしながらミケラの面倒も見ないといけないので、それどころではないし、お城で仲良くなった侍女とたわいないお喋りをしていた方が今は楽しい。

「若いと思っているとあっという間におばあちゃんになっちゃうわよ」

「はいはい」

 ロレッタは聞き流す。


(Copyright2022-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ