五話「ミケラの日 45」
「お姉ちゃん、お腹空いた」
「お腹空いた」
入ってくるなり、二人で「お腹空いた」コールが始まる。
「はいはい、直ぐに支度するから椅子に座って待ってなさい」
「は~~い」
二人は素直に自分たちの席に座る。
「タマーリン様、モモエル様も起きてください。お待ちかねの夕食ですよ」
「ゆ、夕食・・・?モモエル、起きるのですわ。ミケラ様と一緒に夕食を食べるのでしょ?」
タマーリンがテーブルに突っ伏しているモモエルの肩を揺すった。
「夕食?・・・・・・はっ、ミケラ様とご夕食を一緒にするでした」
モモエルも飛び起きた。
「お二人とも起きましたね、それではタマーリン様はこちらへ、モモエル様はこちらに座ってください」
ロレッタが席割りをする。
タマーリンはミケラの正面、モモエルはミケラとタマーリンの間のいわゆる隊長席と呼ばれる席。
タマーリンとモモエルがミケラの隣がいいとごねるのは判っていたので、騒がれる前に座る場所を決めてしまったのであった。
タマーリンもモモエルも素直に従って、言われた場所に座る。
しかし、モモエルの座った場所は、いつもはロレッタが座っていた場所だった。
「お姉ちゃんは?」
「わたしはこっちでいいわ」
タマーリンとモモエルが運んできたテーブルの方を指さす。
「では、わたし達もそちらに座りましょう」
白妙と黒妙はロレッタと一緒のテーブルに座った。
「キティー、あなたはこちらへいらっしゃい」
タマーリンが自分の隣の席を指さした。
「では、予は白妙達と一緒にするのじゃ」
マオが四人掛けの方の残った席に座る。
トランスロットは必然的に残った席だが、そこはいつも自分の座っている席なので別に不満はなさそうだ。
「白妙、黒妙。悪いけど食事運ぶの手伝って」
「はい」
「あいよ」
三人で手早く料理を運び、各人に並べ終わると席に着く。
「それではいただきます」
「いただきます」
ロレッタのかけ声と共に全員が手を合わせて「いただきます」を言ってから、夕食を食べ始める。
食事はごくごく一般的な家庭料理だったが、皆が「美味しい、美味しい」と言って食べていた。
「本当にロレッタは料理が上手ね」
「ホントだよな、いつでもお嫁に行けるよ」
特に白妙と黒妙は褒めちぎりだ。
忍びの里の食事は栄養重視で味は二の次というのもあるが、ロレッタの作る料理はどれも優しい味でそれが新鮮だったのだ。
「褒めても何も出ないわよ、でも、お替わりはあるから遠慮なくしてね」
「じゃ、遠慮なくお替わり」
「予も、お替わりじゃ」
「わたしも」
「わたしも」
次々とお替わりが入って、ロレッタは忙しく動き回る事になる。
「わたし達も手伝いますよ」
白妙が立ち上がる。
「わたしも?」
黒妙が嫌そうな顔をしたが、白妙に睨まれて渋々立ち上がる。
「ありがと、助かったわ」
「いえ、こうして一緒のテーブルで食事をさせてもらえるだけでも感謝ですから」
「忍びって影の存在だから、一緒のテーブルで温かい食事をさせてもらえる事は基本ないからさ」
と言いつつ、黒妙が一番よく動き回ったのだった。
「ロレッタはいいから、座ってなよ」
黒妙なりのロレッタへの感謝の印なのだろう。
後書きです
金曜日にかかりつけの病院でコロナのワクチンを打ちました。
金曜日はなんともなかったんですが、土曜日から副反応で熱が出て日曜日の夕方まで寝込んでました。
熱下がりだしたら意外とあっさり下がってくれてホッとしてます。
金曜日までに下書きは作っておいたので、起きてからさっきまで推敲してました。
誤字脱字あったらごめんなさい。
では また来週(^^)/~~~
(Copyright2022-© 入沙界南兎)
最後に名前を入れるのを忘れたので直しました。(2022/11/27)