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五話「ミケラの日 43」

「サクラーノ!どうしたの!」

 ロレッタが驚いて駆け寄った。

 サクラーノは黒妙の背中でぐったりしている。

「遊びすぎて疲れただけだから大丈夫、大丈夫」

 背負っている黒妙が説明した。

「わたし達が付いていて済みません」

「予も調子に乗りすぎた、スマン」

 白妙と一緒にマオも頭を下げる。

「とりあえず、サクラーノを休ませましょう」

 家に入れてサクラーノをベッドに寝かせる。

 ぐったりしているサクラーノを心配して、手を握っているミケラを残して食堂に移動。

 そこにはタマーリンとモモエルがテーブルに突っ伏していた。

「何じゃあれは?」

「二人でテーブルを借りてきてくれたの」

 言われてみればテーブルが二つに増えているのに気がつく。

 お昼に食事した時は一つだけだった。

「この二人もたまには役に立つ事もあるのじゃな」

 マオの中でタマーリンとモモエルは一体どう思われているのだろうか?

「でもさ、テーブル一つくらい運ぶならタマーリン様の魔法で簡単に運べるはずだよ。多分、頑張って運んだってアピールして、ミケラ様に褒めて貰いたいだけじゃない?」

 空気読めない事では王国一の黒妙さんがズバリ本質を突く。

「あなたね、空気読めないくせに何でそういうことには気がつくわけ」

「それが黒妙さんですから」

 どや顔を決める黒妙。

 白妙に思いっきり頭をはたかれる。

「暴力反対、直ぐに手を出すクセ直さないと嫁のもらい手ないぞ姉ちゃん」

 たとえ姉でも容赦なく本質を突く黒妙さん。

「ぐっ」

 拳を振り上げた状態で固まる白妙。

「ねぇねぇ、白妙や黒妙は好きな男の人っているの?」

 嫁という言葉に反応してロレッタが興味津々に聞いてくる。

「わたしはいないよ、警護の仕事って朝早いから、特にお妃様の護衛の時なんて朝4時集合だよ、朝4時。何時に寝ろって言うのさ!信じられる?ほんと、年寄りは朝が早くて迷惑だよな」

 黒妙が最後の方は愚痴りだし、ロレッタは「あははは」と笑うしかなかった。

「それで白妙は?」

 黒妙に見込みなしと判断して今度は標的を白妙に変える。

「わ、わたしは・・・いないわよ、黒妙といつも一緒でそんな事気にしている暇なんて無いですから」

 言いながらポニーテールにした髪をいじる。

「むふっ」

 ロレッタは手で口を隠して笑うと、

「お姉さんがそうおっしゃっていますが、妹目線から見た黒妙さんのご意見は?」

「姉ちゃん?姉ちゃんに好きな人はいる・・・わけないじゃないか、あははは」

 黒妙は笑うが、目は笑っていなかった。

 黒妙の視線の先の白妙の形相は、空気読めない黒妙さんでもこれは言ってはダメだと判る程に怖い顔をしていたのだ。


(Copyright2022-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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