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五話「ミケラの日 41」

「あの、わたし、こう見えても15才です」

 年齢の話はしたくないのだが、いつもこういう展開になるのでキティーはうんざりしていたが、それでも避けて通れない事なので諦めるしかなかった。

「あらまあ、ごめんなさい、わたしてっきりトランスロットと同じくらいかと思ってしまったわ。本当にごめんなさいね」

 タマンサはベッドの上で謝る。

 立ち振る舞いや話し方に、キティーはタマンサに優雅さを感じた。

「王宮に勤めていたってモモエル様に伺ったし、産まれたばかりのミケラ様を預けられる程に王様の信頼も厚い方ですもの、わたしと違って気品があるのも当然よね」

 とキティーは勝手に解釈する。

「それで、何かわたしにご用なのかしら」

 タマンサはニコニコ笑いながらキティーに尋ねた。

「体調が悪いとモモエル様に伺ったので、わたしに何か出来る事はないかと思って」

「あらまあ、わたしの事を気にしてきてくれたのね。嬉しいわ」

 タマンサはコロコロと笑う。

「いえ、そんなにたいしたことでは無くて・・・ただ気になっただけで・・・」

 キティーは少ししどろもどろになる。

 王宮とも縁のある方ならば、王宮から優秀な回復術士が派遣されているだろうという事は考えれば想像が付く。

 それなのに駆け出しの自分が何か出来るかなんて思う事自体、おこがましいと言うモノである。

 キティーは少し恥ずかしくなった。

「それじゃあ、お願いしちゃおうかな?」

 タマンサの言葉を聞いて驚くキティー。

「いいんですか?」

「ええ、お願いするわ」

 屈託無く笑うタマンサ。

「それでは拝見させて頂きます」

 キティーはベッドに近寄りタマンサの手を取ると、診断魔法をタマンサの身体に放つ。

 これは患者の容態を確認して適した魔法や、使う魔法量を決める目安のために使う魔法。 ケガ、病気、精神、毒など、その症状によって使う回復魔法が異なるし、症状の重さに合わせて魔法力を込めなければ効果がなかったり無駄に魔力を消費してしまう事になる。

 そのための魔法なのだ。

「あれ?あれあれ?」

 キティーは驚く。

 診断魔法が何の反応も示さなかったからだ。

 身体に何か異常があればその異常に合わせた反応が、異常が無ければ異常なしの反応が返ってくるはずなのに、まるで何かに吸い取られたように反応が返ってこなかった。

「あっ、今、診断魔法使った?」

 タマンサがキティーの目をのぞき込むようにして聞いてくる。

「は、はい」

 キティーの顔が少し赤くなった。

「ごめんなさいね、わたし、この病気になってから診断魔法が効果が無くなっちゃったみたいなの。本当に困っちゃうわね」

 タマンサは本当に困ったという顔で再びキティーの顔をのぞき込んだ。

「あら、どうしたの?」


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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