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五話「ミケラの日 29」

「でも、これからどうしようか?」

 今の騒ぎで黒猫を続ける雰囲気ではなくなったのは幼いミケラでも感じ取れた。

「そうじゃの、どうしたもんじゃろ」

 マオもこれからどうするか考える。

「そうだ、わたしいいこと思いついちゃった」

 ミケラがマオに耳打ちする。

「今のをまたやるのか?」

 ミケラの話を聞いてマオは驚きの声を上げる。

 ミケラの案はマオが子供を抱きかかえてサクラーノに引っ張って貰うという、たった今、サクラーノに怒ったばかりの事をまたやろうと言うのだ。

「びっくりしたけど、凄かったし。ちゃんと出来ればみんな喜ぶと思うの。サクラーノがちゃんと手を離せば大丈夫だと思うし」

「確かに、バランスを崩したのはサクラーノが手を離さなかったからサクラーノの重さが急にかかったからじゃからな・・・」

 今の騒ぎからこんなことを思いつくミケラに、マオは将来は大物になるのではという予感を感じていた。

「まっ、予はかまわないがそれではサクラーノばかり大変じゃなかろうか?」

「あっ、そうだね」

 言われてみてミケラはそれに気がついた。

 子供達の分引っ張り続ける程、サクラーノに体力は無い。

 瞬発力はあるが燃費がとことん悪いのだ。

「どうしよう?」

 ミケラとマオは考え込んでしまう。

「何かお困りですの、ミケラ様」

 考え込んでいるミケラにタマーリンが声をかけた。

「あのね」

 ミケラはタマーリンに自分たちがこれからする事を耳打ちした。

「そうですね・・・白妙、黒妙こちらにおいでなさい」

 タマーリンは白妙と黒妙を呼んだ。

「何でしょうタマーリン様」

「どうせろくでもない・・・」

 白妙に頭を小突かれる黒妙。

 ニコニコ笑いながら「空気読みなさいよ、また里を焼かれたいの?」というオーラが、白妙の全身から発せられていた。

「呼んだのはあなたたちにサクラーノの代わりをやって貰いたいからですよ」

 言葉の意味がわからず、白妙と黒妙は顔を見合わせた。

「サクラーノの代わりというのは?」

 そこでミケラがこれから何をやるか説明した。

「なるほど、さっき、サクラーノがやったようにマオを引っ張って全力で走れという事ですね。判りました、やります。黒妙もいいわね」

「おう、任せておいてタマーリン様。ただ走るだけならわたしの方が姉ちゃんより早いから」

 白妙も黒妙も快く応じた。

「ありがとう、白妙、黒妙。じゃあ、みんなを呼ぶね」

「みんなこっち来いよ」

「こっちに来て」

 黒妙とミケラが子供達を呼び集めた。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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