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五話「ミケラの日 28」

 マオは空中で大きく息をしてからゆっくりと地上に降りた。

 周りに子供達やタマーリン達が集まる。

「大丈夫ですかミケラ様?」

 白妙が心配そうに声をかけた。

「うん、わたしは大丈夫」

 ミケラはマオに地上に降ろして貰うと元気に返事をした。

「サクラーノ、大丈夫か?」

 黒妙はサクラーノに声をかけた。

「うん、わたしも元気だよ」

 サクラーノも元気いっぱいに両手を大きく広げて返事をした。

「マオ、お疲れ様」

「よく頑張ったわね」

 タマーリンとモモエルはマオにねぎらいの言葉をかける。

「タマーリンじゃろ、あの風は?あれがなかったら危なかった、礼を言うぞ」

 マオはタマーリンに頭を下げる。

「わたくしはミケラ様を守っただけですわ、あなたにお礼を言われることではありませんのよ。頭を上げて、讃えられるべきはミケラ様やサクラーノの手を離さなかったあなたの方よ」

「そうよ、マオが頑張ってくれたからミケラ様も無事だったんですから。でなければ、タマーリンだってどうする事出来なかったわ。あなたは誇っていいのよ」

 タマーリンとモモエルはマオを讃えた。

「マオちゃん、ありがとう」

「マオ、ごめん」

 ミケラはマオにお礼を言い、サクラーノは謝る。

「二人が無事なら、予はそれでよいぞ」

 マオはわはははと笑う。

「びっくりしたけど、面白かった」

 サクラーノも一緒になって笑う。

「今のはサクラーノが悪いんじゃないの」

 ミケラは怒るが、

「ちゃんと止まれたよ」

 と言って頬を膨らませるサクラーノ。

「そうだった、ちゃんと止まれたね。サクラーノ偉い・・・・・・あれ?」

 サクラーノの言葉に納得しつつも首を捻るミケラだった。

「そうね、ちゃんと止まる事を覚えたのね。偉いわサクラーノ」

 白妙が褒めてサクラーノの頭を撫でる。

「えへへへ、5歩までなら止まれるようになったんだよ。6歩目からはまだ無理だけど」

「それでさっきは10歩まで歩いたのね。サクラーノはサクラーノなりに、ちゃんと考えているんだ」

 そう思うと愛おしくなって、白妙はサクラーノをぎゅっと抱きしめた。

「きゃははは、白妙、お母さんみたい」

 無邪気に喜ぶサクラーノ。

「姉ちゃんは幼年学校の先生の方が向いてるよな」

 サクラーノを抱きしめて嬉しそうにしている姉を見て、黒妙はつくづくそう思った。

 白妙は幼年学校よりはぐれと呼ばれる落ちこぼれの生徒を集めた学校の先生になりたかったのだ。

 忍びの里の幼年学校は忍びとして教育を受ける最初の学校であり、忍びの素質を見極める最初のふるいの役目もしていた。

 ふるいにかけられ素質なしと見なされた子供は、はぐれと呼ばれ一般人として生きていくための学校に集められる。

 白妙はそこの先生を希望していたのだが、親に猛反対されて押し切られたのだ。

 白妙は忍びとしての成績は優秀で将来は上忍にもなれると目されていたので、その才能を両親が惜しんだからだが。

「でも、そのおかげでミケラ様やサクラーノに出会えたのだから良かったのかも」

 と笑う姉を辛そうに見る黒妙だった。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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