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五話「ミケラの日 22」

 だがそれが功を奏した。

 ペルタの弟のペルオが止まりきれなく動いてしまったのだ。

「ペルオ動いた」

「動いた」

「ペルオ、アウト、あたっ」

 黒妙が頭を押さえる。

「なんであんたが一緒に騒いでるのよ」

 ミケラ達と一緒になって大声を出していたのは黒妙だった。

「だって姉ちゃん、ミケラ様が初めて捕まえたんだぜ。これは臣下として喜ぶのは当然じゃないか」

「言われてみればそうね・・・ミケラ様おめでとうございます」

 珍しく白妙が黒妙の口車に乗せられる。



「やった、やりましたわ、やりましたわ。流石わたくしのミケラ様、やる時はやると信じておりましたわ」

「ミケラ様おめでとう、おめでとうございます。わたしのミケラ様が初めてご自分で捕虜を捕まえましたわ」

 当然、見学していたミケラ馬鹿二人は大騒ぎで有る。

「ちょっと、誰があなたのミケラ様ですの?」

「あなたのミケラ様ではないですぅぅぅ」

 子供のような言い合いを始めるタマーリンとモモエル。

「本当にこの二人は」

 横で座っていたキティーは敬愛する二人の真の姿を見て、どうしたものかと溜め息をついた。

 それでもミケラの元に駆け寄らないだけ、二人は自重はしていたのだが。



「兄貴、ごめん」

 ペルオがペルタに謝った。

「馬鹿野郎、ギリギリ狙いすぎんだよ。ああいう変な言い方の時は慎重に行かないとダメだからな」

 最後の方は口調が優しくなるペルタ。

「うん、判った兄貴」

 ペルタがあまり怒っていない事にほっとするペルオ。

「捕虜になったんだから、さっさと行けよ」

 それだけ言うとペルタはそっぽを向く。

「行ってくる」

 ペルオはチームメイトと手を繫いで先に捕虜になっている白妙達の元に走った。




「これは狙えるのじゃ」

 ミケラの間延びした言い方では距離を詰められると思い、その対策としてミケラに早口で言うように頼んだ事が思わぬ結果になり、マオは心の中でニヤリとする。

 次はマオの番なので、マオがもう1チーム捕まえれば残り1チーム。

 鬼勝ちも夢ではなくなるのだ。

「よしやるのじゃ」

 マオは気合いを入れる。

 気合いを入れたのはマオだけではない、ペルタも同じように気合いを入れた。

 捕虜は4人、動けるのも4人になってしまった。

「どうしようペルタ?」

 周りの視線がペルタに集まる。

 ドローを狙うか半勝ちにいくか、ペルタに任されたのだ。

「ペルオ、俺が絶対に助けるからな」

 ペルタは迷わず仲間を助けてドローの道を選ぶ。

「お兄ちゃん」

 妹のペルエも良かったという顔でペルタを見上げていた。

「兄貴、俺はいいから勝ってくれよ。俺の屍を超えて進んでくれぇぇ!」

 ペルオは絶叫した。

「お前、死んでないだろ」

 容赦なくツッコミを入れる黒妙。

「ノリだよ、ノリ。少しは空気読めよな」

「空気を読めないで有名なこの黒妙さんに空気を読めってか」

 自慢するように胸を張る黒妙。

「自慢にならないでしょ」

 白妙に頭を叩かれる。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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