五話「ミケラの日 21」
「お前、ルールには詳しいか?」
白妙に聞く。
「一応、黒猫は子供の頃から遊んでるから」
「そうか、ならば教えて欲しいのじゃが、救助する人数と動ける奴が同じ人数になったらどうなるのじゃ?」
白妙はしばし考えて、
「うちの里じゃ、助けた時点でドローかな、助けないで半勝ちも狙えるけど・・・うちの里じゃほとんど助けてドローになるわ」
「どうしてじゃ?半勝ちでも勝ちは勝ちじゃろ?」
もっともな意見だ。
「そりゃ勝ちを狙うって事は仲間を見捨てるって事だから、うちの里は仲間意識高いから」
黒妙も話に混ざってきた。
「わたしも仲間助けるよ」
「わたしも」
ミケラとサクラーノも加わる。
「そうか、ミケラもサクラーノも仲間は見捨てないのか、偉いぞ」
褒められて二人とも満面の笑顔で喜ぶ。
「でもこっちじゃどうなんだろう・・・・・・ペルタ、ペルタ」
白妙はペルタを呼んだ。
「何だよ白妙」
ペルタが大声で返事をしてきた。
「捕虜と動けるのが同じ人数になったらどうなるの?うちの里じゃドローだったけど、こっちもドロー?」
子供の遊びというのは大まかな部分では同じでも、細かい部分は場所によって違う事はよく有る事。
いわゆるローカルルールだ。
「こっちでもドローだよ」
忍びの里とルールは同じだった。
「ありがとう」
白妙もペルタに負けないくらいの大声でお礼を言った。
「と言うことで、忍びと里と同じルールよ」
「そうか、礼を言う」
マオは頭をぴょこんと下げる。
「ミケラ、ちょっと来い」
マオはミケラを呼ぶ。
「な~に、マオちゃん?」
ミケラがニコニコ笑いながらマオの側に来た。
「これからはできる限り早口で『くろねこがかげにきえた』と言うのじゃ」
「え~っ、わたし早口苦手」
ミケラが口を尖らす。
「よいから、よいから。言える範囲内で頑張ればよいからな」
「う~ん~~」
ミケラはあまり乗り気がしなそうな表情で柱に顔を伏せた。
「よいか、いくぞ」
ミケラの代わりにマオが合図を出す。
「いいぞ」
返事は直ぐに返ってきた。
「じゃいくね」
「く、くろね・・・こが、が、がかげに、き、き、きえたぁ」
ミケラは早口でやろうとして、何度もつかえてしまって逆に遅くなってしまう。
今週も投稿がこんな時間になってしまって申し訳ないです。
書く方はとっくに終わっていたのですが、今週は大砲の転スラの新刊が発売。
待った甲斐があって面白かったです。
という事でさっきまで転スラの新刊読んでました。
創作するのに面白い小説を読むのは欠かせませんよ、書く原動力になります。
来週はソードアート・オンラインの新作が出るし、書く方も読む方も忙しいです。
遅れないように頑張りますね。
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