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五話「ミケラの日 20」

「よしっ、次も予がやってやろう」

 マオが言うと、

「わ~い、また捕まえよう」

「頑張ってねマオちゃん」

 サクラーノとミケラは無邪気に喜ぶ。

「それはダメよ、順番に入れ替わってやるって言う決まりだから」

 白妙に注意された。

「そうだぞ、みんなで参加するから楽しいだ。下手は下手なりに工夫すればいいんだからな」

 黒妙にも注意されるが、

「それ、黒妙が言う?」

 白妙にジト目で見られ慌てて口笛を吹いてごまかした。



「あっ、そうだった」

「忘れてたね」

 ミケラとサクラーノは無邪気に笑う。

 無邪気に笑うミケラを見てマオは安心した。

 サクラーノと無邪気に遊ぶ姿に年相応の姿を見たからだ。

 一人でいる時のミケラが時々見せる大人びた表情も今はまるで感じさせない。

 マオはつい微笑んでしまう。

「な~に?」

 ミケラが不思議そうな顔をして見上げてきた。

「サクラーノが本当に好きなんじゃなと思ってのう」

「うん、サクラーノも、お姉ちゃんも、お母さんも大好き」

 満面の笑顔で笑うミケラ。

「ミケラ様、ミケラ様」

 白妙が声をかけてきた。

「な~に?白妙」

「一人忘れてますよ、一人」

 白妙に囁くような声で言われ、ミケラは考え込む。

「あっ、お兄ちゃん忘れてた」

 どうやらトランスロットのことを本気で忘れていたようだ。

「だってお兄ちゃん、頼りないんだもん」

 サクラーノと顔を見合わせて、

「ね~っ」

 と言う。

 それから二人は手を繫ぐと、

「お兄ちゃん頼りない、お兄ちゃん頼りない」

 と歌い始めた。




「決まりなら仕方ないのう。ほら、ミケラもサクラーノもいつまでも遊んでいないでこっちに来るのじゃ」

「は~い」

 マオに呼ばれて二人は仲良く返事をして、柱の所に戻る。

「では、次はサクラーノじゃな」

「うん、任せておいて」

 サクラーノは速攻で柱に顔を伏せて、

「くろねこ・・・・・・」

 と唱え始める。

「待て待て、早すぎ」

 ペルタが怒鳴る。

「はぇ?」

 怒鳴られてサクラーノは顔を上げた。

「こっちに合図してから始めろよ」

「あっ」

 言われてサクラーノは舌を出す。

「えへへへ、忘れていた」

 合図を出さないでいきなり始められたら、心の準備をする暇もない。

 だから始める時には鬼役は周りに「始める」と合図を出してから始めることになっているのだ。

「じゃ、始めるよ」

「おおっ」

 サクラーノは合図を出して、返事を聞いてから顔を柱に伏せた。

「くろねこがかげにきえた」

 相変わらず早口で一気に唱え終わる。

 唱え終わって振り向くがもう誰も動いていない。

 いつものことなのでサクラーノは「ちぇっ」と言っただけで、ミケラのために場所を空ける。

「ふむ、どうしたものか」

 マオは考えた。

 ミケラとサクラーノがいるので鬼勝ちは無理、二人にマオのようなフェイントをやれというは流石に無理な話だ。

 ならば狙うのは救助させないで勝たせる半勝ちしかない。

 大勝ちは鬼側の全面敗北だが、半勝ちなら痛み分けだろう。

「全員で11人、鬼が3人で2人捕まえたから残り6人か。後1チーム捕まえると残り4人で救助と同じ人数になるのう」

 ふと一つ疑問が湧いた。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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