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五話「ミケラの日 19」

「お~い、予。もういいか?黒猫始めるぞ」

 ペルタが声をかけてきた。

 タマーリンやモモエル達とマオが話し込んでしまったので、子供達はタマーリンがいる場所から反対側に集まっていたのだ。

「いかん、ミケラ達と遊ぶ約束をしたのをすっかり忘れておった」

 マオは慌てて中央の柱まで飛んだ。

 マオが動き出したので子供達もそれぞれ動く。

「わたくし達はここで見ていましょうか」

 タマーリンが頑丈さが取り柄の年季の入った、それでいてよく手入れをされた木の椅子に腰掛ける。

 モモエルはキティーの横に腰掛けた。




「マオちゃん遅いよ」

 ミケラ達が手を振る。

 サクラーノと遊んでいたミケラも先に柱の所に来ていた。

「すまん、すまん」

 マオは謝りながらミケラ達と合流した。

「準備できたか?」

 ペルタが叫んできた。

「できたよ~~っ」

 サクラーノが大きな声で返事をする。

「わたしからやるから・・・・・・もうやっていい?」

「ちょっと待ってろ」

 ペルタが合図すると、子供達がチームごとに横に一列に並ぶ。

 そこがスタート地点なるのだ。

「いいぞ」

「じゃあいくよ」

 サクラーノが柱に顔を伏せると、

「くろねこがかげにきえた」

 と早口で言い、その間に子供達が動く。

 言い終わると同時にサクラーノが振り向くと、子供達は一斉に止まった。

 サクラーノが振り向き終わった後に動いた子供は一人もいない。

「誰もいないかぁ・・・」

 サクラーノは残念そうにミケラと交代する。

「今度はわたしね」

「いいぞ」

 ペルタの返事を聞いてからミケラが柱に顔を伏せ、

「く~ろ~ね~こ~が~か~げ~に~き~え~た~」

 サクラーノとは逆に、少し間延びした感じで叫び、終わると振り向く。

 誰も動いていない。

「ミケラはゆっくり言いすぎ」

 サクラーノが文句を言うが、

「わたし、サクラーノみたいに言えないもん」

 どうやら早口は苦手のようだ。

「ふむ、サクラーノは早口、ミケラはゆっくりか・・・二人ともリズムが一定だからタイミングは取りやすいのう」

 二人ともまだ6歳だ、駆け引きなどまだできる歳ではい。

「やり方は判った、予が手本を見せてやるかのう」

 マオが柱に顔を伏せる。

 合図を出してから、

「く~ろ~ねこ~~~~がか~げに~~キエタ!」

 途中を変則的に間延びさせ、最後はサクラーノより早口で終わらせて超高速で振り向く。

「し、しまった」

 黒妙が止まりきれずに動いてしまう。

「黒妙動いた」

「動いた」

 ミケラとサクラーノが黒妙を指さす。

「うう姉ちゃんごめん」

「もう、あなたは本当にフェイントに弱いんだから」

 白妙もあきらめ顔で黒妙の手を引いてミケラ達の横に来る。

「鬼になって初めて捕まえた」

「捕まえた、捕まえた」

 ミケラとサクラーノが喜び踊りだす。

「まっ、予にかかればこんなもんじゃ」

 マオがどんなもんだと胸を張る。

「ホント凄いな、マオって言ったっけ?お前なかなかやるな」

 黒妙がマオを褒める。

「あなたはもう少し反省しなさい、忍びの里の者が子供のフェイントに引っかかっていてどうするのよ」

 白妙に怒られた。

「だから黒猫は苦手だっていったじゃないか・・・」

 黒妙は口の中でブツブツと文句を言う。

「何か言った?」

 白妙に睨まれて慌てて口を塞ぐと首を横に振る。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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