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五話「ミケラの日 16」

「わはははは、見よ!」

 マオはキティーの頭上を一周すると空中に静止した。

「な、なによ、空を飛べるタレントと言うだけじゃないの」

 キティーは空を飛べるだけでは信用しようとしなかった。

「な、なんじゃと!」

 マオは空中でむっとしたが、直ぐに考え直してキティーの前に降りる。

「な、なによ」

 突然マオが目の前に降りてきたので、驚いて身構えるキティー。

「闇の恐ろしさを教えてやろと思ってな」

 不敵に笑うと、マオの背中の翼がキティーの身体を包み込んだ。

 唐突に光を一切通さない、夜の闇より更に濃い闇に包み込まれるキティー。

「ひゃぁぁぁぁ」

 悲鳴を上げて転げるように飛び出してくるキティー。

「な、何、今のは何?」

 狼狽えまくるキティー。

 時間は午前10時頃である、空も晴れていてかなり明るいのに突然、光が一切ない闇の中に閉じ込められたのだ驚くなと言うのが無理であろう。

「どうじゃ、真の闇の恐怖を味わったであろう」

 かっかっかっと笑うマオ。

 引きつった顔で頷くキティー。

「キティーちょっとこっちに来て、この闇に触ってご覧なさい」

 モモエルに呼ばれ、恐る恐るマオの作り出した闇に触れてみる。

 手がすっと中に入った。

 キティーがいとも簡単に抜け出して来れたので当然と言えば当然なのだが、

「実体が無い・・・これでどうやって空を飛んでいたの?」

 見かけは12才の子供に見えるが、天才と呼ばれるだけあってキティーは聡明な頭脳の持ち主だった。

 回復魔法が主分野ではあるが、鳥が空を飛ぶ時に羽で空気抵抗を使って飛ぶくらいは知っていた。

 そして実体のない翼では空気抵抗は起きない事も。

 それが実体のない翼を使ってマオは、目の前で空を飛んで見せたのだ。

「わはははは、それは予が魔王であるからだ。それが闇の力なのじゃ」

 説明にならない説明をしてマオは胸を張る。

 キティーは理解した、

「こいつ、説明書見ないで機械を使うタイプだわ」

 これ以上突っ込むのは止めることにした。

「いいわ、納得したわけじゃないけどあなたのことは魔王と認めます」

 これ以上ごねても話が進まないので、キティーは早々に白旗を揚げることにした。

「なんか物言いが気に食わぬが、予を魔王と崇めるのならば良しとしよう」

「崇めてなんていない!」

 速攻で突っ込むキティー。

 だがその突っ込みも、

「ねえねえマオ、その翼も後で研究させてくれない?」

 モモエルの研究馬鹿の前に灰燼と期した。

 ズコッとこけるキティー。

「モモエルさまぁぁぁ」


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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