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2話「城下の黒い影 その1」

 妖精達はお城の中の廊下を飛んでいた。

「ヒャッホー」

「イエィじゃん」

「四露死苦^^」

 ミミ達はミケラ達と一緒に城下まで来ると、そのまま街の噴水に住み着いてしまったのである。

 それからこうして、城の中に入り込んではミケラに会いに来るようになっていた。

「ちょっと待った」

 廊下の影から妖精達の道を塞ぐように両手を広げたケットシーが飛び出してきた。

「ロレッタ、なんであたい達を止めるのさ」

 飛び出してきたのはミケラ付きの侍女ロレッタだった。

「あんた達は姫様の教育に良くないから近付けるなって、チャミに言われてるの」

 チャミとはチャトーミの事で愛称ニックネームで呼ぶ程にロレッタは仲が良い、妖精達の話をチャトーミから聞いて道を塞いだのだろう。

「あのクソ猫、今度ギタンギタンにしてやる」

「きちっと、なしつけるじゃん」

「四露死苦」

 妖精達がギャアギャア騒ぐ。

「そうやって直ぐに悪い言葉で騒ぐからダメなのよ。ミケラの、妹の教育に良くないからここは通さないわよ」

 ロレッタがビシッと指摘する。

「ふふん、いいのかなそんな事言って」

 ミミが悪い顔で笑う。

「あたい達、とっておきの噂話を持ってきたじゃん」

 ロレッタの表情が「噂話」と聞いた途端に変わった。

「なに、なに。とっておきの噂話って何よ」

 噂話はロレッタの大好物なのだった。


「姫さん、こんちは」

 ミミがミケラに挨拶する。

 噂話で釣られ、ロレッタは妖精達を通してしまったのだった。

「妖精さん!」

 ミケラは読んでいた絵本を置くと、椅子から飛び出すとキラキラした目で妖精達を迎えに出た。

「そ、その目であたい達を見るな」

 妖精達は一斉に部屋の真ん中に飾ってある花瓶の後ろに隠れた。

「妖精さん達、何故隠れるの?」

 ミケラが不思議そうに首を傾げるが、

「もしかして私のこと嫌い?」

 ミケラの瞳がうるうるし始める。

「いや、あのちょっと」

 ミケラが泣きそうになったので慌てるミミ。

 唐突にミミの首に冷たい物が押し付けられる。

 ミミが恐る恐る後ろを振り返ると、

「姫様を泣かせたな」

 背後に恐ろしい形相をした虎次郎が手にした刀がミミの首筋に当てられていた。

「あわわわわわわ」

 絶体絶命のピンチに変な声を上げて、ミミ目を回して吹いてテーブルの上に落ちた。

「ミミ~~~~ッ」

「四露死苦~~~っ」

「妖精さん」

 落ちたミミにシルゥ、リー、ミケラが駆け寄る。

「虎次郎、妖精さんをいじめちゃダメ」

 ミケラに怒られ、

「これは・・・あの・・・その」

 と何かを言おうとしたが思うように言葉が出ず、

「めっ、でしょ」

 更にミケラに怒られて虎次郎はガクッと肩を落とし手にした刀を鞘に戻す。


著作権表記追加                       (Copyright2021-© 入沙界 南兎)


2023/09/30     一部修正


                    (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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