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五話「ミケラの日 15」

「た、タマーリン、待ってちょうだい」

 そこへ汗だくのモモエルがやってきた。

 屋根からはしごで降りてここまで走ってきたのだ。

 研究ばかりして体力の無いモモエルが屋根の上からはしごで下りるだけでも大変なのに、ここまで走ってきたのでかなりヘロヘロだった。

「モモエルだ、モモエルだ」

 モモエルがやってきたのを見た子供達が、一斉にモモエルの周りに集まった。

「も、モモエル様、ま、待って下さぃぃぃ」

 少し遅れてキティもやって来た。

 キティーはモモエル以上にヘロヘロで運チ部所属は間違いない。

「だ、大丈夫キティー」

 ヘロヘロなモモエルが今にも倒れそうなキティーの身体を支える。

「大丈夫か?」

 サクラーノがキティーの側まで来て見上げた。

「だ、大丈夫に見えます?」

 息も絶え絶えにキティーは返事をした。

「そうか、じゃ、わたしが椅子まで運んであげる」

 言うが速いか、サクラーノはキティーの手を掴んで爆速で引きずっていった。

「ぎょぇぇ~~~っ!」

 変な悲鳴を上げてサクラーノに引きずられていくキティー。

 サクラーノはキティーを引きずったまま全速力で空き地の隅に置かれている椅子まで走り、椅子の前でキティーの手を離しすとサクラーノ自身はそのまま走って椅子からかなり先でようやく止まる。

「き、キティー、生きてますか?」

 子供達に支えながらやって来たモモエルが、椅子の前で変な格好で倒れているキティーのことを心配する。

「い、生きてます」

 子供達の助けを借りてモモエルとキティーはなんとか椅子に座ることが出来た。

「死ぬかと思いました、なんなんですかあの子は?」

 サクラーノの方をおびえた目で見る。

「ごめんなさいね、サクラーノはいい子なんだけどまだ力の加減が出来ないのよ」

 モモエルがサクラーノの代わりに謝る。

「サクラーノがごめんなさい」

 ミケラも謝った。

「ミケラ様が謝ることはありませんわ」

 モモエルが慌ててミケラの頭を上げさせた。

「ミケラ・・・様って?どこかで聞いたような・・・」

 モモエルが目の前の子供に様を付けて呼んでいることにキティーは不思議に思う。

「キティー、ミケラ様に失礼でしょ!」

 タマーリンがキティーを窘める。

「ミケラ様って、あのミケラ様・・・ですか・・・」

 それでようやく相手が誰であるか気がつき、キティーはおずおずとミケラに尋ねた。

「わたしはわたしだよ、他にいないもん」

「そうだぞ、ミケラはわたしの妹だぞ」

 サクラーノが唐突に割り込んできた。

「違うもん、妹じゃ無いもん」

「わたしの方が三ヶ月早く産まれたからお姉ちゃんだ」

 いつものじゃれ合いが始まった。

 モモエルとタマーリンはそれを微笑ましく見る。

「わ、わたし、もの凄く失礼な頃をしてしまったみたいで・・・ど、どうしましょうモモエル様」

 キティーの顔が引きつる。

「うふふふ、今日はミケラの日ですから無礼講よ、それにミケラ様はそういうことは気にしない方ですから。それよりキティー、あなた身体に変化は無い?」

 唐突に尋ねられて、

「身体にですか・・・あれっ、なんか少し身体が楽になったような」

 キティーは驚く、回復魔法の天才と呼ばれ、その才を買われてモモエルのところに呼ばれただけのことはあり自分に起こった現象が何か直ぐに気がつく。

「回復魔法ですか?」

 いつ、どこで自分に回復魔法がかけられたのかまるで覚えが無かった。

 少なくとも回復魔法を使われれば気がついたはずだ。

「いつ見ても不思議なモノじゃのう」

 キティーより少し背の低い、黒髪の女の子が見た目に反した口調で微笑む。

「あらマオ、その口ぶりだとあなたには何か面白い物が見えているのかしら?」

 タマーリンが興味を示してマオに聞く。

「そうか、おぬし達には見えぬのだな。ミケラとサクラーノがじゃれ合うと二人の間に虹色の光がつながるのじゃ」

「なに、その話!もっと詳しく!」

 モモエルが食いついてきた。

「ちょっ、モモエル、顔近い。もっと離れねば話もできんじゃろ」

 顔にくっつきそうなほど寄せられたモモエルの顔をマオは手で押しのける。

「あっ、ごめんなさい」

 モモエルもマオから距離を取り、懐の中からメモを取り出す。

「で、今の話をもう一度いいかしら?」

「ああかまわぬ、ミケラとサクラーノの間に虹色の光がつながっているのが予には見える。予が魔王であるから見えるのだろうな」

「魔王って、この子大丈夫ですか」

 かわいそうな子を見るような目でキティーはマオを見た。

「ちょっとそこ、予をかわいそうな子を見るような目で見るでない。予は正真正銘、魔王であるぞ」

 マオが憤慨する。

「予が魔王であることを見せてやろうぞ」

 そう叫ぶと、マオは背中に闇の翼を広げ宙を飛んで見せた。


遅くなってスミマセン。

先週から少し書くのが遅れ気味です。

ネタが有りすぎてアレ書きたい、これ書きたいと思っているうちに時間だけ過ぎていくという。

今週入れたネタは本当はラストに回すはずだったんですが、キティーちゃんが急遽入ったことで

今週に回しました。

入れるはずだったものが順番が狂っただけだからなんとかなりますよ。

来週はもう少し早く投稿するように頑張ります。



(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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