表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/589

五話「ミケラの日 13」

「わたし、オニやだ~~っ」

 サクラーノがごねる。

「わたしもいやだ~~~っ」

 ミケラも一緒にごねる。

「だめ!赤引いたんだから、決まりは決まりだ」

 ペルタがビシッと二人に言い放つ。

「ううっ」

 黙ってしまう二人。

「サクラーノが悪いんだから」

「ミケラだって喜んだじゃない」

 ミケラとサクラーノは文句を言いつつ引き下がっていった。

「鬼が決まったから位置に付けよ」

 ペルタのかけ声で子供達が空き地の端まで走った。

 空き地の真ん中に柱が立っていて、鬼はそこに顔を伏せて「黒猫が影に消えた」と大きい声で言うのだ。

 ミケラ達はその柱の周りに集まる。

「これからどうすれば良いのじゃ?」

 ルールをよく知らないマオは聞く。

「じゃ、わたしが最初にやってみせるから見てて」

 鬼役はチーム全員の持ち回りなので、一番手はサクラーノ。

「それじゃあ、わたし次」

「予はその後じゃな」

 ミケラが二番手、マオが三番手となる。

「お~い、こっちはもいいぞ」

 ペルタが声を張り上げて始めるように言ってきた。

「おまちなさい」

 声とともに空から影が降ってきた。

「げっ、タマーリン」

 降ってきたのがタマーリンと判り、ミケラ達以外の子供達の顔が引きつる。

「な、なにしに来たんだよ」

 震える声を精一杯張り上げてペルタが聞いた。

「安心しなさい、今日はあなたたちをいじめに来たわけではないですわよ」

 今日はと言いきるタマーリン。

「タマーリン」

 ミケラが嬉しそうに駆け寄る。

 その後にサクラーノも続く。

 マオは中央の柱のところから様子を見るように動かない。

 それに気がついたミケラとサクラーノは、

「マオちゃんもおいでよ」

「そうだぞ、こいつはいい奴だぞ」

 と二人してマオを呼ぶ。

「いやいや、タマーリンが優しいのはお前達二人だけだから」

 周りにいた子供達が一斉に心の中で突っ込む。

「そうですわ、わたくしは優しいのですからあなたたちもおいでなさい」

 子供達をタマーリンが手招きをした。

 悲鳴を上げて一斉に空き地の隅の方へ逃げる子供達。

「失礼ですわね」

 文句を言いつつ意地悪く微笑むタマーリン。

「そうだぞ、お前達。タマーリン様に失礼だぞ」

 黒妙が逃げた子供達を叱る。

「タマーリン様は凄い方なんだぞ、まだ小さい頃にうちの里を焼け野原にしたことがあるんだぞ、今ならこの街を焼け野原にできるくらい凄いんだぞ。失礼なことを言っちゃダメだぞ」

 思いがけなく、思い出したくない過去の大失敗を大声で言われ、さすがのタマーリンも絶句する。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ