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五話「ミケラの日 10」

 黒猫とはざっくり言えば「だるまさんが転んだ」とほぼ同じ遊びだ。

 鬼が木などに顔を伏せて「黒猫が影に消えた」と言っている間に、他の子供達が鬼に近寄り、言い終わった鬼が振り向いた時に動いた子供は鬼の捕虜になる。

 違う点は二人から三人のチームを作り、鬼が振り向いた時にチームの一人でも動けばチーム全体が捕虜になることだろう。

 それにいつもチームのメンバー同士が手をつなぐか互いの着る物の掴んでいけなければいけない。

 そうすることでタレントの能力発動に制限をかけらるからだ。

 なのでチームを組む時は同一系統のタレント持ちはチームを組めない。

 例えば、ミケラの持つ影移動は鬼ごっこや警泥ではほぼ無敵なので同じ影移動同士ではチームは組めないが、サクラーノはダッシュ系なので、サクラーノのダッシュは出来なくなりミケラも影移動が簡単に出来なくなるのでチームが組める等。

 長い間培ってきた子供達の知恵だった。


 勝ち方にも幾つか種類があり、鬼が全員を捕まえれば鬼勝ち。

 鬼勝ちをしたチームは子供達からしばらく尊敬の目で見られるので、鬼になったらなったで逆に張り切る子供もいるくらいだった。

 一人も捕まらずに鬼にタッチすれば全勝ち、全勝ちされた鬼チームはぼろくそに言われるので鬼チームは全勝ち阻止に必死になる。

 捕まった仲間を全員助けてから鬼にタッチすれば大勝ち、救出するのにもルールがあり助けに行った人数分しか助けられないので、意外と頭を使う必要があった。

 最後が捕まった仲間を見捨てて鬼にタッチする半勝ち、この勝ち方をしてもあまり嬉しくないので子供達は全勝ちを目指し、鬼チームの方は当然鬼勝ちを目指す。



「じゃ、チーム分けするぞ」

 リーダー格のペルタが声を張り上げた。

 ペルタは身体が大きく力が強いが、小さい子の面倒もよく見るので子供達に信頼されているのだ。

 子供達は仲の良い者同士でチームを組み始めた。

 お互いのタレントは知っているのでいくら仲が良くても、似たタレント同士で組まないように分かれる。

「ミケラ・・・それとマオもチームを組もう」

「予も良いのか?」

「一人余るし」

 参加するのは白妙、黒妙も含めて11人なのでどうしても三人チームが一つ出来る。

「そうか、それならよろしく頼むぞ」

「じゃ、手をつないで」

 ミケラが早速マオの手を握ってきた。

「ミケラ、まだ鬼を決めるんだから手を握るのはその後だってば」

「あっ、そうか」

 サクラーノに言われてミケラは握っていたマオの手を慌てて離す。

「ミケラはまだお子ちゃまだな、やっぱりお姉ちゃんのわたしがしっかりしないと」

 サクラーノがここぞとばかりにお姉ちゃん風を吹かし始めた。

「違うもん、サクラーノはお姉ちゃんじゃないもん」

「わたしの方が三ヶ月早く生まれたからお姉ちゃんだ」

「お姉ちゃんじゃないもん」

 いつものやりとりが始まり、子供達と白妙、黒妙はやれやれという顔で見る。

 しかし、マオには別の物が見えていた。

 ミケラとサクラーノがこのやりとりを始めると、先ほどタマンサを癒やしていたのと同じ虹色の光が二人の間を繋ぎ、その光が周囲に広がり子供達やマオを包み込む。

 その光に包まれてマオは自分の身体が軽くなってような気がした、心もほんわか温かくなる。

 それに日頃、倉庫で働いている疲れも薄らいできたのだ。

「なんなんじゃあの二人は、ミケラ一人の力などたいした力ではないが、二人揃うとここまでパワーアップするのか」

 マオは驚くとともに二人が子供達に歓迎される理由がわかった。

 心が暖かくなってきて楽しくなるのだ、心が楽しくなれば遊びにも気合いが張るという物だ。

「ミケラ様、サクラーノ。止めて下さい、でないと遊ぶ時間が無くなってしまいます」

 白妙が仲裁に入った。

「あっ、ごめん」

「ごめんなさい」

 素直に口げんかを止め謝る二人。

「あれっ?」

 白妙は視線を感じ、遠くの屋根の方を見た。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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