五話「ミケラの日 09」
自分たちも連れて飛んでもらえると思うのは仕方ないこと。
「ちょっと待つのじゃ、いっぺんにと言うのも予とて無理じゃ。そうじゃな、あと二人、二人なら連れて飛べるぞ」
マオの言葉に、
「え~~っ」
と言う不満の言葉が子供達から発せられた。
「仕方ないじゃろ、予とて体力の限界はあるのじゃ」
目の前に居る子供はミケラ達を除けば6人、子供を連れて6回を飛んでもさほど疲れるわけではかった。
ただ、女将さんにミケラと遊んでこいと言われて送り出されてきたのだ。
「6人分飛んだら、ミケラと遊ぶ時間が減ってしまうではないか」
せっかくサクラーノに引きずられてきたのだから、ここは遊ぶ一択、もうマオの頭の中はミケラ達と遊ぶしか無かったのだ。
「誰が一緒に飛ぶか、ゲームで決めよう」
サクラーノが元気いっぱいに提案した。
「ゲームか・・・」
「ゲームならいいかな」
「恨みっこなしよね」
子供達もやる気になった。
「で何やる?」
今度は遊ぶゲーム決めだ。
「警泥は時間かかるぞ」
警泥とは警備兵と泥棒のことだ、警備兵と泥棒の二チームに分かれて遊ぶので順位を出すのにも不向きだ。
「黒猫はどうだ、この人数ならなんとかなるんじゃない?」
子供の人数は9人だった。
「もうちょい多い方が楽しいよな、あと二人くらい・・・」
子供の一人が誰かいないか探すように辺りを見回す。
「いた」
建物の影からこちらを、お菓子を食べながら伺っている白妙と黒妙を見つけたのだ。
「しろたえぇぇぇ」
「くろたぇぇぇぇ」
子供達に一斉に呼ばれ、白妙と黒妙は顔を見合わせた。
呼んでいる子供達の中にミケラも混じっている。
「し、仕方ないわね。本当はダメですけど、ミケラ様に呼ばれては仕方ないわ」
「そうだよね、ミケラ様に呼ばれたら行かなきゃダメだよね、宮仕えの辛いとこだね」
と嬉しそうに笑いながら子供達の方へ走った。
「いい、わたし達は来たくて来たんじゃないですからね。ミケラ様に呼ばれたから仕方なく来たのですから。そのところは判っているわよね」
「そうだぞ、ミケラ様に呼ばれたから仕方なく来たんだぞ。本当だからな、大人に聞かれたらちゃんとそう言うんだぞ」
と毎度おなじみの言い訳をする。
「はい、はい」
子供達も毎度おなじみの言い分けに笑いながら返事をする。
「で今度は何して遊ぶの?」
白妙が待ちきれないとばかりに子供達に聞く。
「この前は警泥だったよな?今日は何だ?」
黒妙も姉に続く。
二人とも遊ぶ気満々だった。
それぞれの思いは違うのだが。
白妙は子供が好きで、里でも年少組の面倒を見ていたのだ。
なので、子供の中に混じって子供の相手をするのが楽しいのだ。
ミケラの護衛役になった時にも、表面上は平静を装ったが内心では「超ラッキー」と思った程だった。
一方、黒妙は純粋に遊ぶのが好きなのだ。
里でも近所の子供を集めては一緒に遊ぶのが日課で、
「あなたももう大きくなったのだから、子供と遊んでばかりいないで姉さんを見習いなさい」
と両親に小言を言われるも糠に釘、馬耳東風であった。
「で、何やんだよ」
しつこく聞く黒妙に、
「黒猫だよ、黒猫」
と答える子供。
「え~~っ、黒猫」
黒妙はあからさまに嫌な顔をした。
「ふふ、黒妙は黒猫苦手だからね」
笑う白妙。
子供達も一緒に笑った。
近況報告 別にありません(笑)
毎日暑いですね、インドア派の私には外で遊び回る人の気持ちがわかりません。
昨日もお昼を食べに出かけましたが、UVカットの服を着ていったのに肌が焼けそうな
太陽光線に死ぬかと思いましたよ。
話の方はしばし、遊びのシーンンが続きます。