067【はみ出しその3】人を斬るということ【解説編】
……ホントにいつまではみ出すつもりだ。
064を「区切りがいい」といっていたのが懐かしく感じられる。
殺すために生き物の体を斬る、という経験は、今時肉屋さんでもしないと思います。
肉は切るでしょうけど、骨を断ちきることはしない、という意味です。
あ、ちなみに「食事が一番大事」というのは888-878が父親として子供達に授けている家訓でして、「人間は生きるために、一番活きの良い状態の他の生き物の命をいただいている。
そのことに感謝して生きて行くために『いただきます』というんだ」と伝えています。
これはそのまま輝巳もおこなっており、こういう小さなことから、輝巳の生き方が颯太や詩央に伝わり、颯太や詩央が最初の着甲時から高い能力を顕現させた一因ともなっています。
さて、戦前の戦記物を読む中で、「人の肉はパンの練り粉の斬り味に似ている。
人の体は、樫の木の棒をパンの練り粉でつつんだものを刃物で一気に切り分ける感覚に似ている」
という趣旨の記述を読んだことがあります。
その著者は練り粉も人体も斬ったことのある経験から語られていたので真実みがあると受け止めています。
このたとえがどれだけ真に迫ったものかを知っているのが犯罪者だけというのが、平和な社会に生きる幸せなのだと思います。
徹攻兵の場合はちょっと様子が違います。
まず、光条武器による切断ですが基本的には熱をともなわない溶断です。
溶断の際、わずかな抵抗があり徹攻兵達は「豆腐の感覚」といっていました。
ゼリーやプリンでもいいのですが、こと戦闘においては全く意味をなさない抵抗です。
ラインメタルや八尺砲、光条砲はこの感覚で絶ち斬られていくことになります。
これが徹攻兵が身にまとっている装甲服となると少しだけ違います。
光条武器が装甲服に当たると脆化します。
脆くなってそこだけ「割れる」のですが、これもほとんど抵抗がなく、徹攻兵達は「卵の殻を包丁で切ったら、多分、こんな感覚」と伝えてきています。
装甲服だけなら卵の殻の感覚だけでいいのですが、その下にはアンダーアーマーがあり、そして人体があるんですね。
そこは溶断することになります。
ゆで卵を殻ごと包丁で切る感覚……、私も試したことはないですが、これが一番近いと思います。
豆腐だけとも殻だけとも違う、何ともいえない感覚。
徹攻兵達は、この感覚を「嫌なもの」だと受け止めています。
そんな「生々しい嫌な感覚」を乗り越えた先に、生き死にをかけた戦いの行く末が決まる、というお話しでした。
それを直接描写しているのは全編を通じて三名だけになるのかな。
その三名が誰かって?
もし、お気に止まりましたら↓本編をご笑覧ください。
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