第3-2話 初級術師、エーテルちゃんに調教される
簡単なまとめ:
骨董市で買ってきた変なオーブにはぁはぁしてチューした僕、青髪幼女が現れてローファーで踏まれました。
これはこれでめっちゃアリですっ!
……はっ!?
倒錯的なシチュエーションに思わず我を忘れてしまった18歳健康男子(陰キャ)ですが!
彼女は僕の顔からローファーをどけた後、靴を脱いでリビングの入り口にある玄関に置き(意外にきちんとした子だ)ぷくーっと頬を膨らませてソファーに座っている。
き、気まずい……なんとかゴキゲンを取らないと……。
頭脳をフル回転させた僕が出した答えは……。
「えっと、ケーキ食べる? 紅茶もあるよ」
とりあえず餌付けすることだった。
*** ***
「おお、美味しっ! にしし、グラス……いいケーキ出してくんじゃん!」
テーブルに並べたショートケーキ6個をぱくつきながらゴキゲンの青髪の女の子……。
ふ、ふう……なんとかなった……スイーツの神様ありがとう!
というか、この子も大食いなのか……ケーキ6つとか、見てるだけで胸焼けしそうです。
……とりあえず彼女も落ち着いたみたいなので、確認したいことがいくつかある。
「えっと……もしかしてキミも、”アイテムの精霊”なの?」
ポゥとご同類かもしれない……状況から推測した僕は、女の子に尋ねる。
「お? もぐもぐ……ごくん」
「よく知ってんね。 うん、アタシは”エーテル”の精霊、エーテルちゃん!」
「見たとおり、ちっちゃいけど色々経験豊富だぞ~? う~んとかわいがってね!」
最後のケーキを飲み込むと、にしし、とフォークを持ちながらニヤニヤ笑いをするエーテルちゃん。
何が経験豊富だ……ちょっとドキドキした。
エーテル……これまたみなさんご存じの回復アイテムで、HPではなく魔力……MPを回復する。
ポーション類に比べ、ドロップ率が低く、レアアイテムと言っていい。
MPを50程度回復するエーテルで300センド、200程度回復するハイエーテルで3000センドほどの値段で売られている。
魔法使いがいるパーティには需要の高いアイテムだ。
これまた、回復術師の魔法の中に、対象のMPを少し回復したり、余った自分のMPを分け与える術があるため、積極的に生産のための研究はされておらず、現状、迷宮でのアイテムドロップしか入手手段がない。
(これは、魔法を使えるスキル持ちの絶対数が少ないという事情もあるかも。 アイテムの研究には莫大な費用が掛かるのだ)
なるほど……この子も「擬人化」されたという事は……ポゥのようにエーテルを【無限増殖】出来るんだろうか?
で、でも……キスするのはポゥとだけにしたいし……僕がもじもじしていると、エーテルちゃんが僕の聞きたいことに気づいたようだ。
ショートケーキを食べ終えたエーテルちゃんは、にやぁと意味深な笑みを浮かべる。
「おお~っ? グラスはこう聞きたいんだねぇ……」
「このかわいいエーテルちゃんと「きききっ……キスすると……え、エーテルの【無限増殖】が、で、出来るんだな?」ってね♪」
「んもぉ~、そんなにおっきくしちゃって~エッチなんだからっ」
エーテルちゃんはニヤニヤしながら的確に僕の考えてる事を突いてくる。
ぐっ……仕草がいちいちあざとい……って、大きくなんてしてないっ!
……自分のベッドの中で以外は。
「そだね~、「ヒトガタ」に実体化できるくらい、強いパワーがあるグラスとなら……できるかな」
「で・も・ぉ~、アタシの場合「キス」じゃないんだなこれが!」
むむ……もしかしてキスされるのか!?
身構えた僕をあざ笑うかのように、ちっちっと人差し指を振るエーテルちゃん。
キスじゃ……ない?(がっかりすんな、僕!)
「にしし……ちょいそこのカーペットの上にうつぶせになって」
う、うつぶせに? 何をされるのかドキドキしながら、結局彼女の言葉に従う僕。
「にひ~、”エーテル”をつくるには……こうすんの!」
むにっ!
「ひえっ」
お、思わず情けない声を出しちゃった……彼女の柔らかい足が……僕のお尻を踏んでマッサージを!?
「にひひ~、上を向いちゃダメだぞ~今パンツ丸見えだ・け・ど♪」
「ほれほれ~、ぐりぐり」
ああっ……彼女の足の裏がぐりぐりと……それに見ちゃいけないと言われたら見たい……もやもやした気持ちが大きくなって……。
パアアッ
ころ、ころん……
その瞬間、青い光が生まれ、その中から3本の筒状の物体……中に青い液体が封入された回復アイテム……エーテルだ……が転がり出た。
「にしし~♪ アタシは、エーテルの精霊! ”恥ずかしい”とか、”モヤモヤむらむらする”といった、感情の振れ幅をエネルギーにして”エーテル”を作るんだ♪」
「めっちゃすごいっしょ!」
た、確かに僕のドキドキとムラムラが凄いかもしれない……新たな趣味の地平が開けて……僕が何かに開眼しようとした時。
「たっだいま~! ふう、お魚を見繕ってたら遅くなったよ~。 グラス、もう帰ってるね!」
あ、ポゥが帰ってきた!
い、いけない! まだ僕のお尻にはエーテルちゃんの足が乗ったままである。
このままじゃあらぬ誤解をっ……焦った僕がエーテルちゃんに声を掛ける間もなく。
がちゃ
「「「あっ……」」」
裏口の扉を開けてリビング内の光景を見たポゥと、僕たちふたりの声がシンクロしたのだった。
次回、グラス君ピンチ?
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