第12-2話 アナタと、合体したい
僕たちの仲間に加わったエナジーオーブの精霊、エナ。
彼女と”エナジーオーブ”を作るために必要な行為は……。
「合体」
だった。
「はっ!? えっ!? ”合体”!?」
「それって男女が色々接触する方向性の合体!?」
盛大に混乱する僕。
今までアイテムの精霊たちとしてきた数々の行為はドキドキするけど、カワイイ物ばかり(一部やりすぎ)だっただけに……いきなり直球攻撃ですか!?
「ダメダメダメ~~!!」
「わたしとグラスもまだ”いろんな場所にキス”だけで”合体”はしてないのに~!
いくらエナジーオーブの精霊さんといっても、ダメですぅ!!」
よほど驚いたのか、手をぶんぶんと振りながら僕とエナの間に割り込んでくるポゥ。
……ポゥ、興奮のあまり、僕たちの「恋人進捗状況」を暴露してるよ?
「うふふ……まだグラスくんとポゥちゃんは最後まで行ってないのね……微笑ましいわ~」
あわわ……ヴァンさんがポゥの言葉を聞いてほっこりしている。
恥ずかしさのあまり真っ赤になる僕。
「おいおい、エナっち! アタシたちなんか足○○とか、膝枕とか、ソフトな行為ばかりなんだぞ!」
「いきなし本番とはどういうことだよぉ! 風情がないだろ風情が!
くすぐっておもらしという、お笑い全振りなそこのおこちゃまリーゼを見習え!」
「なななっ!? 誰がポンコツおもらし高貴お嬢様ですって!?」
「わたくしのアレは、エリクサーの余剰薬液といってますでしょう? おもらしではありませんわ!
むしろアナタの足○キの方がよっぽどお下品ですわ!」
「なんだとう!」
エナにツッコむつもりが、わいわいと喧嘩を始めてしまったエルとリーゼは置いといて、言葉だけ聞くとちょっと危ないお店のようだ……道理で同業者からの嫉妬が多いはずだ。
反省するべきかも。
思わず賢者モードになってしまう。
「いろんな場所にキス……足コ○に膝枕……おもらしプレイですって……!?」
「なんてこと……なんてことを……!」
眼前で繰り広げられるアレな会話に、目を見開きながらプルプル震えるエナ。
「貴方たち!! 女神バレスタインの使いとしてなんて不埒な!! 恥を知りなさい!!」
彼女は顔を真っ赤にしたと思うと、烈火のごとくポゥ達をしかりつけたのだった。
「「「「えっ!?」」」」
「いやあのエナ、オメーの方が不埒じゃね?」
「いきなりグラスと”合体”とか……ていうか、さすがにポゥのカレシをNTRとかありえんのですけど?」
いきなり響いたエナの怒声に、ぽかんとするポゥたち。
おいおい、といった感じでエルが指摘してくれる。
そうだそうだ、エル言ってやれ!
僕も初めてはポゥとがいいんだ!
「……? 何を言っているのです、エル?」
「”合体”と言えばこうでしょう?」
ぴょ~ん
ガシイッ!
エルのツッコミに不思議そうな顔をしたエナは、とうっ! とやけに軽い掛け声でジャンプ一番、無意味に捻りを加えて空中で一回転すると、華麗に僕の肩の上に着地した。
「……ぐえっ!?」
思わず変な声が出た。
その長い脚で僕の胸から背中をがっしりホールド。
「これぞ、アイテム精霊究極の儀、”肩車合体”ですっ!!」
きりっとしたドヤ顔と共にエナが宣言する。
「……ええ……」
あまりに予想外の”合体”に情けない声を出す僕。
……うっ、でも、エナの張りのある太ももの感触が両方の頬に……。
かつん!
僕が思わずドキドキしてしまった瞬間、七色に色を変えながら光るオレンジ色のオーブが生み出された。
おお、これが”エナジーオーブ”かぁ。
「はは……なんだ、よかったぁ」
安堵のあまり、しりもちをつくポゥ。
「にひ、しょ~もな!」
「エナジーオーブの精霊もおこちゃまだね! まあ、女神バレスタインはカレシいない歴2万年の行き遅れらしいから女神に一番近いエナも」
ガコン!
「へぶっ!?」
女神に対して言ってはいけないことを言ったからなのか、どこからともなく飛んできた巨大なタライの下敷きになるエル。
女神怖い……神々の世界も色々あるようだ。
ともかく、肩車をすることでエナジーオーブを作れるようになった僕たちの戦力?は、大幅に強化されたのだった。




