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第8-4話 【大臣転落サイド】軍大臣、陰謀がバレ、かなり終了する

 

 フアアアッ……


「くふぅ……さすがに危なかったわぁ……」


 身体を実体化させつつ、一息ついたレイラ。


 彼女が実体化したのは王都の大深度地下にある太古の遺跡……。


 彼女はひそかにここに拠点を築き、”真の目的”のための準備を進めていた。


「先ほどの戦いでだいぶ力を使ってしまったけどぉ……まだ大丈夫……”カオスヒールの夜”の種はあちこちに蒔いてきたし」


「後は徐々に力を集め、この魔法装置に込めれば……」


「魔王様……もうすぐお会いできますわねぇ……!」


 うっとりとした表情と声で、巨大なモノリスを撫でるレイラ。

 真の目的が成就するまで、あと少し……。



 ***  ***


(おのれ、なんという事だ!!)


 ……臨時第2種政府査問会……


 いかめしい主題が付いた会議に呼び出された王国軍大臣バルバスは盛大に焦っていた。


 いつの間にか彼のサインと大臣印が押され承認されていた”アイテムの精霊拉致作戦”……まったく記憶にないが、いつの間にあんなものを承認したのだ……!


 悪い事に、実際に拉致作戦が発動され、勝手に犯罪者を使って違法な作戦を実行したこと、さらに命令書までが回収され、王国の保安局に渡っていた。


 バルバスは、私には記憶にない事……臨時私設秘書に登用していたレイラが勝手にやったことと弁明するつもりだったのだが……。



「バルバス殿、これはどういうことですかな?」


 保安局長官が、ばさりと1冊のファイルを机の上に投げる。


「ばかな! それはっ……どうして!」

 ファイルの中に収められているのは、バルバスの裏ビジネス……軍物資の着服と横流し……の記録書類だった。


 私以外には開けない金庫の奥に仕舞っておいたはずなのに……まさか、あの女……レイラの最後っ屁か?


「ほかにも……”アイテムの精霊拉致作戦”では、実際に王国御用達グラス氏の店が被害に遭っており……」


「また、貴殿の私設秘書……レイラは勇者殿の調査により、”魔族”と判明し、王国に災厄をもたらそうとしていたと判明しています……」


「なっ!? ばかな! そんな事実、私は知らんぞ!」


 意外な事実の披露に衝撃を受けるバルバスを置き去りにして、淡々と語る保安局長官。


「残念ですが、これだけの証拠があり……国王陛下のご裁可もいただきましたので、バルバス殿……貴殿を解任の上、告発させていただきます」


「本日中に官舎を退去の上、自宅待機をお願いします」


「保安局から監視が付きますので、くれぐれも変な気を起こされないよう……」


 がちゃん……


 保安局長官は一方的にそう告げると、部屋を出て行ってしまった。


 入れ替わり、屈強な保安局職員が数人入ってくる。

 コイツらが監視役のようだ。


「くそっ、くそおおおおおおおっ!!」


 悔しげなバルバスの絶叫が、部屋の中に響いた。



 ***  ***


(おのれ保安局の犬め……どうにかならないか……!)


 昨日まで自分の城だった大臣私室……そこで退去準備をしながら、バルバスは必死に考えを巡らせていた。


 ぴたりと後についてくる監視役は3人……自分の能力では奴らを倒すのは無理だ……今夜自宅でひとりになった時にどうにか……。


 ころん……


 焦るバルバスの指先に、一本の筒が当たる……これは、たしかレイラが言っていた”自由転移”の機能を持つマジックアイテム……。


 はっ!

 これを使えば、逃亡できる……適度なガード役も用意して……いけるぞ!


 追い詰められ、一瞬で思いついた逃亡劇に浮かれるバルバスは、忽然と消えた魔女レイラがなぜマジックアイテムを残していったのか、その理由に思い当ることは無かった。


 その夜、自宅から忽然と消えたバルバスは、盾役として地下牢から犯罪者ルードを拉致すると、逃亡生活へ身を投じるのだった。


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