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第8-1話 初級術師、疑惑を調査する

 

 一泊温泉旅行から戻ってきた僕たち。


 ふふふ……僕とポゥは正式に恋人同士になったんだよなぁ……あの後、気を使ってくれたエルとヴァンさんの計らいで、同じおふとんで一緒に寝た僕とポゥ。


 ま、まだえっちなことをする勇気が出なかったので、ふたりでぎゅっと抱き合って眠っただけだったけど……あったかくて、気持ち良くて、幸せだったなぁ……。


 はにかんでくれるポゥは超かわいかったし……。

 にへへ……と気持ち悪い笑みを浮かべる僕。



 ……はっ!!


 ポゥとのイチャイチャを思い返してニヤニヤしている場合じゃありません!


 ポゥを誘拐したルードと、その背後にいると思われる”魔族”の情報をまとめないと……僕は次の日の朝に、改めてヴァンさんたちと現場を調査した内容と……そこで見つけた”1枚の紙”について、勇者アロイスさんたちに渡す報告書としてまとめていた。


 まず、誘拐実行犯はルードだが、奴は”傀儡術”で操られていた。

 基本的に魔族の禁呪法なので、背後に魔族がいたことは間違いない。


 そして、奴は”カオスヒールの夜”と言う災厄の再現を狙っている事……さらに、奴は王国政府内にいる可能性が高い事。


 それを裏付けるのが、この現場に落ちていた”1枚の紙”だ。


 ”アイテムの精霊拉致作戦”と題名のついた書類に、犯行の詳細な手順と、罪人であるルードを使用する事が書かれている。


 書類の末尾には、王国軍大臣バルバスのサインと、印鑑まで押されている。


 これ、本物なんだろうか? 本物なら、王国の大臣が、魔族にポゥの拉致を指示したことになるが……。


 この書類については、いったんアロイスさんたちに相談した方がよさそうだ……僕はそう判断していた。



 次に、僕に現れた”新たな力”……。


 実は、レベル自体は7→10にしか上がっていなかったんだけど、今まで使えなかった”MPギブ”が使えるようになった。


 これは、通常は使用者のMPを相手に受け渡す中級魔法なんだけど……どうやらアイテムの精霊に使うと、彼女たちの活力の元……回復エネルギーを活性化する効果があるらしく。


 エルなんか、「すっげ! アタシめっちゃびんびんになる!? ハイエーテルも作り放題だよ!」と、僕のデリケートゾーンを踏まなくても普通にマッサージしているだけでハイエーテルが作れることにびっくりしていた。


 そして、”XXヒール”……莫大なMPを消費するが、対象の生命力・魔力を逆転させる波動を放ち、相手にダメージを与えるとともに、ステータスバフ効果などをすべて解除する。


 魔導書を確認したところ……禁呪法に近く、過去にわずか数人の使用者がいたのみ……これについては、特に回復術師のヒューバートさんに相談した方がいいだろう……。


 やたらに使うと、大変な事になるかもしれないしね。



 ふぅ、こんなもんかな……僕はアロイスさんに渡す予定の報告書を書き終えると、一つ息をついた。


 きらり……机の上に置かれた、きれいなポーションが光を放つ。


 ”グランポーション”……僕がポゥと告白の勢いで”大人のキス”をしたときに生まれた最上級ポーション……。


 半径100メートル内の仲間全てのHPを全快させるという、絶大な回復効果があり、伝説の回復アイテムとして、いままで王国内でも20個くらいしかドロップしていない。


 噂では、王室の宝物として、王宮の宝物庫に保管されているとか……値段を付けられるようなものじゃない気がする……。


 ポゥと抱き合うとポーション、軽いキスをするとハイポーション……そ、そして大人のキスをするとグランポーションが生まれるんだろうか?


 あの後は恥ずかしくてまだ一度も大人のキスを試していない僕である……うう、父さんが”男ならぐいっといけ、ぐいっと!”と頭の中で叱咤してるよ……。


 ま、まあこれはおいおい試していけばいいだろう……でも、ポゥとのオトナのキス、気持ちよかったなあ……うへへ。



 ポゥの唇と舌の感触を思い出し、ニヤニヤしていると、慌てた様子で僕の部屋のドアが開かれる。



「おわっ……って、ポゥ!?」


 そこに立っていたのは、目尻に涙を浮かべ、半べそをかいたポゥだった。


 わわ、もしかしてえっちな妄想が声に出てたのか!?

 思わずわたわたする僕。


 だけど、彼女の口から出た言葉はまったく別の事で……。


「ぐす、どうしようグラスぅ……わたし、”ポーション”が出なくなっちゃったかも……」


「え、ええええええっ!?」


 思わぬ彼女の訴えに、驚愕した僕の叫びが、家中に響き渡ったのでした。


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