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第5-1話 初級術師、勇者パーティに誘われる

 

 勇者……それは冒険者の頂点であり、たぐいまれな才能と努力、そして実績を積んだ者だけに国から与えられる名誉の称号である。


 初級回復術師でもある僕にとっては、まさに雲の上、あこがれの人たちなのだが……。


 なぜか僕は、その勇者様のパーティから勧誘を受けていた。


「ええええええええ!?」


 書状を受け取った僕の叫び声が朝の店内に響く。


 ……なんか最近僕、こんなのばっかりだな……。


 ***  ***



 数日前……。


「いらっしゃいませ~……って、ヒューバートさんっ!?」


「グラス~、ヒューバートさんが来たよぉ~!」


 相変わらず繁盛している僕の店、バックヤードで回復アイテムの在庫の整理をしていると、店番をしてくれているポゥが僕を呼ぶ。


 って、ヒューバートさんが来たのっ!?


 僕が慌てて店内に出ると、いつもと同じくダンディで優しい笑みを浮かべたヒューバートさんがそこにいた。


「い、いらっしゃいませ! 今日は緊急のご入用ですか?」


 相変わらず少し緊張しながら僕が話しかけると、ヒューバートさんは「はは、買い物じゃないよ」と笑いながら、僕に一通の書状を渡してくれる。


「今日は、君達に勇者パーティとして正式な依頼をしたくてね……勇者アロイスの代理としてここに来たわけさ」


 ぼ、僕に勇者パーティから正式な依頼!?


 いや僕とかDヒールしか使えない初級回復術師なんですけどっ!?


 混乱しまくる僕を見てヒューバートさんは優しく笑う。


「詳しくはその書状に書いてあるから……検討しておいてくれないか?」


「特に急ぎの依頼じゃないから、時間のある時でいい……じゃあね」



 相変わらずかっこいいヒューバートさんは、本日たまたま棚に並んでいたハイエーテルをお買い上げになると(昨日の生産活動でエルの足裏が僕のデリケートゾーンにヒットしたことにより、出来ました)颯爽と店を出て行ってしまった。


「……はぁ……僕もあんな大人になりたい……」


「……お~い、グラス! 依頼の内容を確認するぞ~……あれ、またトリップしてる」


「……夢見るグラスくん状態だね……」


 しびれを切らしたエルに蹴りを入れられるまで、僕はそのまま店先で、ぼ~っとヒューバートさんに憧れの眼差しを注ぎ続けていた。(この時エーテル1個ゲット!)


 ***  ***



「迷宮探検への同行依頼? 言っちゃ悪いけど、グラスの回復術が戦闘の役に立つと思えないんだけど……」


 勇者パーティからの正式な依頼……その依頼状を読んだエルが、さきほど生み出されたエーテルを棚に陳列しながら首をかしげている。


「うっ……悲しいけど全くその通りデス……あとエルさん、エーテルに”ドMエーテル”とか変なラベル付けないで……」


「ん~、しかも……わたしとエルも同行願うって書いてあるね……なんでだろう?」


 フリーダムなメスガキであるエルの悪戯を止めようと、僕がわたわたしていると、依頼の必須条件を見たポゥも首をかしげる。


「にしし……実はアタシたち”アイテム精霊”の事、勇者さんたちにバレてんじゃな~い?」


 う、ありうる……ヒューバートさんは超高レベルの回復術師だし……。



 ま、まさか、回復アイテムの精霊であるポゥとエルを誘い出して、なにかに利用しようと企んでるとか……!


 って、流石にないか……勇者アロイスのパーティは、高潔な正義の勇者として世界中で有名だ。


 多少のポーションやエーテルを確保するためだけに、そこまでする事はちょっと考えられない。


「む~、その”勇者様”って、すごく強くてえらい人たちなんでしょ? いっそわたしたちの事を話して、味方に付けちゃうのはどう?」


「なるほど……そっか……お店もどんどん評判が高まってきて、正直仕入れ先をごまかすのも限界なんだよね……勇者様がフォローしてくれるなら、助かるな」


「うん! そうしようよ!」


「だいじょーぶ! 変な事されそうになったら、わたしたちには”奥の手”があるから! 心配しないでっ」


 お、奥の手ってなに……?


 かわいく見えても世界中のポーションを統括するアイテムの精霊……なにかすごい必殺技があるのかもしれない……詳しく聞くのも怖いので、聞かないでおこう。


「迷宮探検かぁ……ヒトガタで行くのは久しぶりっ♪」


「つーことは、”エーテル”がいっぱい必要になるね~、さあさあグラス、明日用のヤツを作ろうよ!」


「ほれほれ……ここが良いのかい?」


 むにむにっ


 ああっ!?


 エルの足が、僕の色々なところをまさぐる。

 うう、敏感なところはやめて……。


「ズルいエルっ! わたしも!」


 ちゅっちゅっ


 ポゥが何度もキスしてくる。


 ああああっ!?

 柔らかいポゥの唇の感触が何度もっ!


 ……迷宮探検を明日に控え、寝不足になりそうな僕でした。


いよいよ冒険?です!


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皆様の応援が、最高のポーション、エーテルになります!

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