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第4-4話 【パーティ転落サイド】犯罪者ルード、ギルド支部を巻き込み終了する

 

「クソが……追っ手を撒かねえと……おいブライアン、食料はどうした!」


 栄光のAランクパーティのリーダーから一転、お尋ね者として犯罪者になったルードは、同じくギルド支部長から転落したブライアンと共に、みじめな逃亡生活を送っていた。


 ***  ***



 レイラにそそのかされて潜ったS-007迷宮。


 その最深部でボスを倒した後なぜか気を失い、意識を取り戻したルードが見たのは、真っ二つになったかつてのパーティメンバー、ダレルの姿。


 魔法剣を握ったまま気絶していた自分の状況から考えて、自分が殺したに違いない……ダレルを斬った瞬間のことは覚えていないが……魔法的な術か何かで操られたのだろうか?


 そういえばレイラの姿も消えている……死体がないことを考えると、ひとりで逃げたに違いない。

 あんなに可愛がってやったのに、俺を置いていくとは……クソビッチめ!!


 Sランク迷宮に一人取り残されたという状況に絶望し、叫んだルードだが、傍らに”脱出の羽根”が落ちていることに気づく。


 くく、俺の運はまだ残っていたようだ……これで王都に戻れば……ブライアンと協力してまたやり直せる。



 ルードは、街に戻るなりその考えが甘かったことを思い知るのだが……。



「くそっ……なんで俺たちの悪事がバレてやがるんだ!」


 ボロボロになって王都に戻ろうとするルードの前に現れたのは、彼の幼馴染で冒険者ギルド支部長のブライアンだった。


 かなり焦った様子のブライアンに、ルードがどうしたんだと陰気に確認すると、ブライアンが事故として処理していた冒険者……ルードが使い捨てた連中だ……に関する匿名のタレコミがあり、近くギルド本部の監査が入るという事、同じくアイテムの転売の件についても王国物流部の捜査が始まっているらしいことを聞いた。


「お、オレだって知らねーよ……オレの工作は完ぺきだったはず……誰かオレ達を知る奴らの仕業としか考えられない……」


「ぐっ……フレッドは真っ先に始末したし、ダレルは損得に敏感な男、こんなことをするとは考えられねぇ……グラスの奴は冒険者を辞めてるから、俺らの悪事を知るわけはねぇし……」


「……まさか、レイラか?」


 俺が王都に戻ってくるまでおよそ一日……状況的にはありうるのか?


「ちっくしょう! あのクソ女め! 俺たちをハメやがったなあああああ!!」


「次に会ったら絶対にぶっ殺してやる!」


 自分たちを陥れた存在に気づいたルードは、恨みを込めて絶叫する。


「ル、ルード、復讐もいいけどよぅ……今は逃げないと……あと数時間もすれば追手が来るぞ!」


「な、もう来るのかよ!」

「ちっ……俺がいざという時のために蓄えていた金がある……それを持って逃げるぞブライアン!」


「わ、わかった!」


 こうしてルードとブライアンは王国中に指名手配され、逃亡生活を送ることになったのだった。


 ***  ***



 ここは辺境の街の郊外……廃屋の中に穴を掘り、ルードとブライアンはしばらくここに潜伏していた。


 ちっ……もう金がねぇ……ストレス発散にちと遊び過ぎたか……。


 まんまと王都から逃げおおせたルードとブライアンは、変装して地方の街を転々としていたが、ストレス解消のために過度に遊び惚けることが増えた。


 特にあのブライアンの馬鹿にはギャンブル癖があり、闇カジノでスッたことも何度かある。


 ふむ……1週間以内に”闇依頼”をいくつかこなせば、しばらくは持つか……ブライアンの野郎……交渉力を買って連れてきたが……暗殺などの”闇依頼”には何の役にも立たねぇな……。



 口減らししとくか……すっかり狂気に染まったルードは、夜の遊びから戻ってきたブライアンを闇討ちすると、廃屋の奥に埋め、次の街へ向かった。



 ***  ***



「へっ……”闇社会”で名を上げるたぁな……やはり俺には才能があったようだぜ……」


 数か月後、ルードは王都の近くに戻ってきていた。


 逃亡資金のため”闇依頼”をこなすうち、王国最大の犯罪組織の目に留まり……幹部に登用された上で、王都での活動を命じられたのだ。


「さぁて、俺を陥れた奴らに復讐しますかね……」


 まずはレイラのクソビッチを始末した後……俺をバカにしてパーティを辞めやがったグラス……アイツの店はいまどんどんデカくなっているそうじゃねーか。


 気に入らねぇ……裏から手を回して潰すか。


 グラスからすれば、とばっちりもいい所ではあるが、どん底からの成り上がりで自尊心を肥大化させているルードには関係ないことであった。


 ルードは、意気揚々と赴任先の犯罪組織事務所に足を向けたのだが……。



「ふぅ~ん、ルード……もどってきたんだぁ……」


「わざわざ”王都”に戻ってくるとか、馬鹿じゃないのぉ?」



 この気だるげな声……まさか!


 振り向いたルードの目に入ったのは、すっぽりとフードをかぶり、足元まであるローブで全身を覆った黒髪の陰気な女。


 数か月前にルードをハメた女魔法使いのレイラだった。


「ふ……ははは……まさかお前がひとりでやってくるとはなぁ……手間が省けたぜ!」


「ここでぶっ殺してやる!」


 ダンッ!


 ルードは愉快げに狂気を込めた笑みを浮かべると、魔法剣を抜き放ち、一気にレイラに切りかかる!

 この数か月で数段キレを増した俺の剣技、受けてみやがれ!


 ルードは自分の剣が憎っくきレイラを真っ二つに両断することを疑ってなかったのだが……。


「なっ!?」


 フイイイイッン……


 ルードの剣は、”魔法障壁”に阻まれ、レイラの身体には届いていなかった。


「だからぁ……私の魔法障壁にアンタごときの剣が通じるわけないでしょぉ?」


「馬鹿なっ……レベル60の”魔法剣”だぞっ……!」


 普通の戦士の剣ならともかく、俺の剣はエンチャント済みの魔法剣……この程度の”魔法障壁”が斬れないはずが……。


「まったく……本当に馬鹿なんだから……大丈夫……アンタは私が便利に使ってア・ゲ・ル」


「ま、待てっ!」


 ルードの制止を無視し、酷薄な笑みを浮かべたレイラの手のひらから、闇の魔法力があふれ出す。


 その黒い霧にまかれたルードは、あっさりと意識を手放した。



 どさっ



「ふむ……こんな小物が使えるのかね?」


 物陰から一部始終を見ていた男が姿を現す。


 全身をくまなく覆うローブを着ており、姿は分からないが、神経質そうだという事は声色から分かる。


「くふふ……こんなのでもレベル60の魔法戦士ですからねぇ……色々使い道はありますよぉ……」


「うむ……任せたぞレイラ」


 気絶したルードを抱え、二人は霧のように姿を消した。


次章、物語が動き始めます。


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