オタクOL、先住人と出会う
※少しグロイ描写があるかもしれません。苦手な方はご注意を。
全編改訂、これで終了!(投稿数を増やせという話だが)
オタクのあらぶりが欲しい……。
オッス、オラ、西山アリス!前回までのおさらいをするぜ!就職先の上司に会って、自分の住居に案内されて美人な鬼のお姉さんにあったぞ!あと、イケメン執事から小さな箱をもらったぞ!以上だ!
……なんか、オラのいないところで変な空気があったのは知らないぞ。
美人のマキさんに案内されて、家に入る。
「ここが玄関。で、廊下の先が居間だよ。居間に入って正面が庭。その右手が台所だよ」
「マキさんのほかには誰かいらっしゃるんですか?」
マキさんはふんわり笑う。なんていうか、イケウーマンである。いわゆる、女の子にモテモテな女の人だ。
「あぁ、あたしのほかに二人いるよ。あんたが四人目だね」
おや、意外に少ない。道中聞いた話によるとここには櫻月様の部下にあたる人々のお屋敷に働いている人たちの寮兼住居だそうだ。いや、社宅だな。うん。何で寮なんだ……。
「あの、ここって、そのお屋敷にお勤めしている方の寮ってお聞きしたんですが、意外に人が少ないですね」
「うーん。そうかな?あたしたち以外に働いている人見たことないし、基本的に担当のお屋敷以外いかないから、誰がどこにいるって知らないのよ」
「そうなんですね」
話しているうちに、居間についた。ダイニングテーブル、カウンターキッチン。内装は割と和風より洋風。尚且つ、私がいた時代の作りに似ている。
十畳はありそうな広い居間である。キッチンをのぞいてみると、これまた驚き。キッチングッズは一般的なモノから専門的なモノまで揃っている。オーブンレンジ、六つ口コンロ。結構どころかかなり充実している。しかし、使っているようには見られない。
「あんたの部屋は廊下の一番手前の左になるよ。部屋の作り方とか教えてもらったかい?」
マキさんにそういわれ、ハッとする。
「な、なんとなくは」
「そうかい。コツは思い浮かべることだからね。わからなければ聞いておくれ。あたしは隣の部屋だから」
伽藍としている部屋に案内される。フローリングだ。和風とはどこに。
マキさんは必要があれば手助けをするって感じだ。何でもかんでも手伝うのではなく、やってやれたらそれでいいし、できなければアドバイスをするか、少し手伝う人なのだろう。うん。そういうのお姉さんめちゃくちゃ好み。マキさんも推し確定。
一人になっている部屋で、コツである思い浮かべることにした。
ここで忘れていると思うが、一般人のモブである私に異世界チートなどない。急に魔法が使えるようになったり、なにか特殊能力があるでもない。異世界転移をしてきた、という事実だけがそこにある。即ち、魔力とかそういうファンタジックな力は現状皆無である。
クラムさんによると、この部屋の構造はそもそも魔力が豊富な土地の上に建っているそう。そのため魔力がなくても大丈夫だとのことだから、実施してみる。
思い浮かべるは一人暮らしを始めて7年になるアパートの部屋だ。
そう。あの部屋には。
10数年かけて集めたオタクグッズが満載なのだ!!!(ドヤァ)
最近お気に入りの『マジカル☆異世界ライフ』はもちろん、昔のアニメのDVDボックス、アイドルのグッズ、料理を楽しむためのグッズ。なんでもござれ。
ある時言われたのが「万屋」。あまりにも揃いすぎていて畏怖の目を向けられた。解せぬ。
おおっと、いかんいかん。集中集中。
およそ一時間くらいたっただろうか。
思ったよりうまくいった。
あの部屋が。この異世界に。今!復活!これからもオタ活できるね!
説明を忘れていたが、この異世界インターネットが完備されている。(どういうことだってばよ。)ただ、使えるのはこのお家内だけ、とのことなのでそれは仕方ない。使えるだけでも感謝しなければ。不正利用とかではない。が、SNSは使えない。調べものとかはできる。なので、ソーシャルゲームはできるが、マルチプレイは使用不可。課金ももちろん不可。(ガチャだけならできる)謎原理。
この理由もクラムさんに聞いてみた。本人はすごく苦笑いしながらこう言った。
「あーなんていうか……水葉様も君みたいなタイプだし、機械生命体もいるから……。ま、まぁ、ほら、現代っ子の君にはいいんじゃないかな」
本当の理由はまた別にありそうと思ったが、あの顔を見たら聞いてはいけないんだと思った。(すごく疲れてる顔だった。)
「というわけで、今日からここに住むことになったアリスだよ」
居間に住人すべて(といってもマキさんを含めた3人)集まって自己紹介タイムとなった。
「はい、本日異世界から落下してきましてここにお世話になることになりました西山アリスです。よろしくお願いします」
マキさんは、私の発言に驚いたようだ。
「あんた、落ち人だったのかい?」
「はい、先程まで説明を受けていまして」
ここでもう一度。私のような“役割もち”も含め人間はよく[別世界]から落ちてくるそう。なので中央の都市では異世界から来た人間を「落ち人」と呼んでいるそうだ。
よく落ちてくるって……。それは明日水葉さんに聞いてみよう。
「へ、へぇ……。心が強いんだね……。それはそうとして、お屋敷どこ行くの……?」
マキさんの後ろで隠れながらそう聞いてくる紺色の髪の青年。
「こら伊助!!前でシャキッと話しな!」
「だ、だってねぇちゃん!お、女の子だよ??!この変な奴と違うじゃん!」
「当たり前でしょ」
マキさんはため息一つつくと、私に説明してくれる。
「こいつは伊助。あたしの弟だよ。人見知りが激しいから、挙動不審かもしれないけど悪い奴じゃないから」
「伊助さんですね。よろしくお願いします」
ははーん?伊助さんはシャイボーイとみた。そして、交流を通じ好感度上げると途端に仲良くなってくるタイプ。
こいつは私の推しですね!!!(n回目)
「もー。伊助っちったらひどい!!変な奴ってなんだよ!」
ぷんすか怒るのは、濡れ烏の髪色をしたゴシックロリータをきた女の子。
「あ、僕は矢羽根丸!こう見えて烏の鳥人族だよ!よろしくっち!」
おとこの娘、だった。
ふっ。おとこの娘だった烏の鳥人……推せるに決まってんでしょうが。嘗めてるのかオタクを。雑食のオタクは強いんだぞ。
「で、アリス。お仕事先はどこなの?」
「え、あ、水葉様のところだそうです」
居間に沈黙が訪れた。
「えっと……?あの?」
「アリス、あたしの耳が悪くなったのかい?」
「そんなわけないでしょう!マキさんみたいな美人さんのお耳が悪くなるなんて」
マキさんは深くため息をついた。それに乗じて伊助さんも矢羽根丸さんも真っ青な顔だ。
「あのね、アリス」
「はい、なんでしょう?」
「水葉様のお屋敷って誰もいけないし、行ったことないのよ。それに、“落ち人”が水葉様のお屋敷に行くということはもう仕事が分かるようなものなのよ?」
「え?????」
「あんた、説明を受けてきたんでしょ?あの金髪執事から」
「あぁ、櫻月様とクラムさんに」
再度沈黙が訪れる。
「あんた……肝が据わりすぎよ」
「そうですかねぇ?美男美女で脳内は嵐でしたけど」
「……君も、変わってるんだね……」
伊助さんの呆れたようなセリフ。オタクには誉め言葉だ。
「僕も伊助っちもマキっちもこの本家勤めして200年くらいたつけど……。一度も水葉様見たことないよ……。櫻月様なんかお会いできることなんかないよ……」
トップの人だからな、櫻月様って。そりゃそうだ。ていうか、みんな200年くらい生きてるんだ……。
「あぁ、でも、落ちてきたのが白い狼と金髪の女の子がいるところでしたよ」
再々度、沈黙が訪れた。
「沈黙の春じゃん……。運強すぎ……」
矢羽根丸さんの絞りだした言葉に二人は大きく頷いていた。
「解せぬ」
「解せぬ、じゃないんだわ!!!!!」
住人一同のツッコミが、アリスに入れられた。
次回!みんなの職場とオラ自身の職場に向かうぜ!!!!みんな応援してくれよな!(何に???)
薄暗い森の中、男はひた走る。あぁ、まずい。不自然なくらいに明るい月が男の走る開けた道を照らす。
こんな筈ではなかったのだ。男は走りながら思う。何もかもが情報と違うじゃないか!
何で、何で?!あの男に知らせなければ!あの(・・)男の(・)もつ(・・)情報は古いのだと。
「古い(・・)?そんなわけないでショ?」
ひゅん、と音がする。自分の(・)体が(・)宙に(・)浮く(・・)。細い紐で胸のあたりを締め付けられてうまく呼吸ができない。それどころか体の自由が奪われている。
紅白の髪の青年は、どこまでも冷たく見ている。その紅玉石と瑠璃の目は光がなく、昏い目で男を見下ろす。
「あの男って、あいつ?時空渡りを勝手にしてさ、役割持ちを殺して、有名になろうとした奴?君はそんな馬鹿を信奉してるんだネ?」
嘲笑うように、けなす様に青年は男に向かって話す。
男は反論をしたかった。違う。あの人はそんな人ではない。時空渡りも許可があることだ!役割持ちなんか必要ない!現当主より当主らしい!
もっとも、その考えは言葉として紡がれない。締め付けがひどく喋れないからだ。
だが、思考を読んでいるのか青年の目は嘲笑っているものから、興醒めだ、と言わんばかりの目つきになった。
「お前ごときが原初のものに逆らえるとでも??僕らでも逆らえないのに?無理無理。あいつ、なり替わりたいのか?知らないけどサ。ねぇ用が済んだらこいつ、殺しちゃおうよ」
最後の言葉は誰に言った?そもそも情報が古くないって。
男の疑問は尽きない。
「あぁ、最後の質問は答えてあげるよ。僕、今気分いいからネ」
少しだけ紐が緩まった。が、体の自由は聞かない。
「お前の持っている情報、つまり、あいつの思い違いなんだけどね」
にっこり、清々しいくらい綺麗に笑う。
「沈黙の春を含めたうちの三人は昼夜問わず(・・・)能力が(・)発揮できる(・・・)んだよ?すごいよねぇあの子たち。自慢の家族だよ!だから、夜に(・)能力が(・)使えない(・・・・)なり(・・)ぞ(・)こない(・・・)じゃ(・・)ない(・・)んだよ、馬鹿め」
急に真顔になった青年。男はその顔が目に焼き付いていた。
だらん、と下がる男の手。
「チッ、死にぞこないめ」
忌々しいのか舌打ちをすると、男を蓑虫状態にする。
「おい、あほ道化師。こいつお前にあげる」
「おやおや、ご機嫌斜めだね櫻影」
「うるせぇジョーカー。煮るなり焼くなり喰うなり、好きにしな」
仄暗い顔をしたジョーカー。
「あぁ、美味しく調理していただくよ、殺人鬼の名に懸けて」
飽きたのか、その場からすぐ立ち去った櫻影を見届けたジョーカーはそのまま、男を引きずって森を歩く。
「あぁ、でも成人男性ってあんまりなんだけどなぁ。固いし。しかも、こいつ不健康そうだからナァ……。ま、調理のし甲斐はあるだろうけどねぇ」
暢気に鼻歌を歌うジョーカー。
彼は生粋のカニバリズム(食人主義)の殺人鬼。
そんな彼が櫻月の下にいるのかはまた別のお話で……。
「でも、本当に残念だねぇ。俺に任されちゃって。櫻月に殺されるならまだ痛みは一瞬だったのにね」
彼のつぶやきは男には聞こえていなかった。
読者の皆様方、こんにちは、あるいはこんばんは。塩焼やまめです。最近やる気になったりノットやる気とかしていて中々進みません。転職してからネタの宝庫。最高!
なんかめんどくせぇことになってきたなぁ、とやまめも思ってますw
次回作も随意執筆してるので楽しみに待っていてください。ではでは。また、次作でお会いしましょう。