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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
87/144

にぶちんめ!

気ままに投稿しています。

        ※


 和木ヨースケの家は、アイにとっても衝撃的だった。

 弟コウへの気持ちが、写真以上のもので溢れ出ていて、ビックデータ化するに至って、なんだか迷うところが多かった。


 和木って高校一年生の男の子が、興味を持ってきた分野はわかる。

 でもそれ以上の気持ちを、確かに感じ取ってしまったら?


 写真を見た時、バスケのチーム全体の写真じゃなく、弟のコウとツーショットで笑うそれを見てしまった時、姉としては複雑な気分になってしまった。

 彼は弟のコウを好きだったーー?


 実はさ、和歌山ってまぁまぁそっちの、ーー性と性が入り混じった人間も多いってこと、アイは統計的に認識している。

 人間愛とかの以上の部分で、相手に焦がれることがあってもいい。


 アイは新しく開発されるメカ類に焦がれるから、夢中になるってことに理解があった。


 夢中ってね。

 寝ても覚めても、なんだかそのコト考えてしまうこと。

 人でも物でもそれは一緒。

 神案件なんだから、それでいい。

 だから身近にそんなのがあっても、いやまぁ、それもいいかって思っていた。


 でもコウ、お前さ、ほんと何も知らないにも程がある。

 お前の周りややこしすぎるだろ。

 いつの間にお前は人の気持ちを虜にするの!?

 なんでお前だけ、いつも天使の羽全開で癒し系になってる!?

 アイは鈍感すぎる弟の天使ぶりに、頭を抱えた。


 和木を幼馴染として認識してきたコウを責める気にはならない。

 大人は友人関係にうるさい。

 それは付き合う友人によって、子供の人生が左右されることを、身をもって知っているからだ。


 だから一流大学、大手企業を目指せという。

 さもなくば、受け継いだ家業をそのまま継がせろという。

 大人は傷を背負っている分、保守的なんだな、とアイは思っていた。


 でも、おそらく和木は少し違う気持ちで、コウに依存していたに違いない。

 それは母親に求めるみたいな、揺るぎないもの。

 コウの天然振りに、和木が惹かれた。


 こんな感情をわからないくらい天真爛漫な弟のコウは、アイにとっても眩しかった。

 自分にとってコウが、どんなに出来が悪くてもかけがえのない存在だったように、和木にとってもコウは生きていくための光だった。


 過ぎたことだから、もういいけど。

 和木ヨースケの冥福を祈りながら、弟のコウを罪作りなやつだと、それもデータ化しながら冷めた気持ちで締め上げた。


「次は樫木君の家に行かないとね」

 鈍感やろー。

 アイは弟の尻をつねってやった。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月7日

反応が励みになるので、よろしくお願いします。

なんでもいいです。

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