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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
86/144

寿命は何年くらい必要ですか?

気ままに投稿しています。

映画見にきて、食事処で時間待ちに書いています。

        ※


 陰陽師、樫木アキの実家は高野山の、ある有名な神社だった。

 和歌山の高野山って言ったら世界遺産だし観光地、

それから修行僧もいっぱいいるし、それ以上に観光客もいる。


 明治以前は高野山全体を総本山金剛峯寺と言って、

1200年の歴史がある。標高867メートルの位置にあり、

参拝に訪れる客は、ロープーウェイを使ったり、車を使ったり、

べダル好きはロードバイクでクライムしたりするような場所だ。


 樫木がロードバイク趣味って言ってたのがわかるような気がする。

「黒田と高野山をペダルで登る約束してたんだけどな」

 あいつ、生きてるかな?

 樫木は寂しそうだった。


「きっと黒田君なら大丈夫だよ」

 そうでないと、和木が一番悲しむよ。

「もしかしたら、今もあっちの世界でバスケやってるかもしれない」

 この世界で彼の姿は見ていない。

 バスの中にも居なかったんだ。

 僕らはそう思うことにした。


「俺さ、クエストで出会ったやつに聞いたんだけど、

この世界じゃ術士って言うんだって。

あと術士は試験があって、試験を受けると級をもらえるらしい。

そのランクによってクエスト賞金も違うみたいなんだ」


「すごいね、じゃあそれ受けた方がいいんだ」


「まあな、こんな世界に来てまで試験あるなんて、かったるいけど……。

受けなきゃな、って思ってる。

ただ試験会場が別の神様の氏族のところだから、

ここからは遠いし、試験もそんな簡単じゃないみたい。」


 だから当分はこっちに居て、クエストでお金を貯めるらしい。

「それがいいね」

 僕は言った。

 慣れるまでは何が起こるかわからないから、生活基盤を整えてから、

この世界をもっと知ってから動く方が安全だ。


 この頃は和木もこの世界の植物の研究を始めていたし、

僕は僕で、鉄を作り出す準備を8割完成させている。


 最初は本当にどうなることかと思っていたけれど、

神様は、ーーいやリーインリーズ伯爵はいい人だった。


 ただ入れていたのは市民権の申請である。

 一般の人間が神の一族、重氏族って言うんだそうだけど、

そこで市民権を得るためには、寿命の壁を越えなければならなかった。


「せめて100年以上生きないとな」

 リーインリーズで300歳だそうだが、全くそうは見えない。

 若くて綺麗、お肌ピチピチだ。

 僕ら100歳まで、頑張ったら生きれるかもしれないけど、

たぶんヨボヨボだよな。

 そんなんでいいのかな?


 それともこっちの世は年取らないのかな?

 そう考えて、僕はゾッとした。


 僕は永遠の命なんていらない。

 ちゃんと年取って、死にたいよ。


「和木君、長生きしたい?」

「死んだ人間にそれ聞くか?」

「じゃなくて、こっちの世界で寿命長い方がいい?」

 和木はちょっと考えていたが、その横から樫木が言った。


「俺は長い方がいいよ。仙人みたいに徳をつめるし」

 和木も言った。

「そうだな、俺も自分を試せる時間が多い方がいい」


 んー。ここでは、アンチが僕だけか。


「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月6日

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